2008.07.26
モーツァルト ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488(1786)
はい、モーツァルトファンの皆さん、お待たせいたしました、「ヨン・パッ・パー」です。
旅から旅の生活に終止符を打ち、ウィーンに定住を決めてはや5年。自らの演奏会を開いて収入を得、また自ら演奏する為に数々の名作を残していた彼の、そういう意味では最も成熟していた時期の一連のピアノ・コンチェルトのなかでも、皆さんに親しまれているのがこの23番ではないでしょうか?
このコンチェルトは、ピアノパートが独自の主題を持っておらず、ピアノとオケが同じ主題を演奏します。それがこの曲をわかりやすく、また親しみやすいものにもしているのですが、ちょっと違う見方をすると、これはまさしく、ピアノとオケの大人の逢瀬なのです。
22番と同じく、オーボエのかわりにクラリネットが使われ、そのことはこの曲をよりしっとりとした「大人の音色」にしているように思います。
典型的なソナタ形式の、モーツァルトらしい主題の展開で進む第一楽章は、やがて夢見るようなカデンツァに引き継がれます。それは第二楽章へのプレリュードでもあります。
変へ短調のやや影を帯びたピアノソロで始まる第二楽章。静かなメランコリックなピアノ調べに導かれ、第一バイオリン、フルート、クラリネットがそれぞれ想いを重ねてゆき、それにまたピアノが応える。夢見るような、美しい楽章です。
終楽章。再びキーはヘ長調に戻り、軽快なリズムに乗って、明るい音が重ねられてゆきます。それまでの出来事が、あたかも夢の中の出来事であったかのように・・・。
この曲が演奏会の為に作られるようになった頃、ウィーンの人々はモーツァルトへの興味を急速に失いつつありました。この後、さらに4曲のピアノ・コンチェルトを作った彼。大成功を収めた「フィガロの結婚」が作曲されていた頃であり、またこの天才がこの世を去る5年前のことでした。
やはりといいますか、モツのピア・コンは内田さんです。モーツァルトを最もモーツァルトたらしめるのが彼女のタッチと音色ではないでしょうか?夫のテイト率いるロンドン室内響と寄り添い重なり合う演奏は、まさに逢瀬。彼女のピアノは、どこまでも静謐で気高く、やや神経質に聞こえなくもないのですが、モーツァルトの小さな手(?)が、目の前に浮かんでくるような名演です。
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