2008.08.07
ジョゼフ=モーリス・ラヴェル バレエ音楽「ボレロ」(1928年)
今日は、ラヴェルのボレロです。恐らく彼の作品では最もポピュラーであり、また楽曲としても皆さん、いろんなところで耳にされたことがあると思います。あの、聞こえるか聞こえないかの小さな音から、同じフレーズが繰り返し演奏され、音がだんだんと大きくなり、最後にバンッ!と消える、あれです。
聞きやすくとっつきやすいのですが、これがラヴェルの音楽のすべてだと刷り込まれてしまうと、彼を過小評価することになりかねません。そういう意味では、ピアノ協奏曲ト長調とか、同じバレエ音楽でも「ダフニスとクロエ」あたりから始めればいいのですが、今日は準備の都合上、ボレロです。^_^;
バレエ音楽と言いましたが、この曲はバレエ音楽です。(爆)それも彼が生涯に残した5曲のバレエ音楽の最後の作品。当時、世界的なバレリーナだったイダ・ルービンシュタインの依頼を受け、彼的にはほんの習作のつもりで書いたそうですが、彼女自身のパリ・オペラ座の初演以来、瞬く間に世界中の人気を得てしまいました。
この曲、ご存知の通り45秒ほどの旋律が19回繰り返されて終わります。言えば、ちょっと禁じ手ですよね。だって45秒分作って繰り返して、15分ほどの作品にしちゃうわけですから。彼がこのような手法の先駆者だったのかどうかは知らないのですが、馴染みやすい旋律と共に、この繰り返しの流儀が、この曲のアイデアのワン・アンド・オンリーな核心なわけです。
この曲だけでなく、彼はフランス人でありながら、スパニッシュな雰囲気の曲が多いのが特徴。実は彼の母親がピレネー山脈の向こう側、バスク地方の出身だからだといわれています。そう、あの「ブガティ・ロワイヤルの女」にも出てきた、あのバスクです。
音楽的には、20世紀の管弦楽法の大家と言われ、「オーケストレーションの天才」「管弦楽の魔術師」とも言われています。また、かのストラヴィンスキーが「スイスの時計職人」と評したともいわれる精緻な曲作りは、この単純極まりないようなボレロにも見られます。じっくりと聞き込むと、それはまるでピカソの絵のように、卓越したものの描き出す計算しつくされた単純さであることがわかるのです。
フランス的でありながらスペインの香りが漂い、単純であるけれどそれはそれは緻密で繊細な音の構築の上に成り立っている。こういう曲が得意な指揮者といえばまずピンと来るのがデュトワ。彼自身、フランス人ですし。そしてオケは、どのフランスオケよりもフランス的と言われるモントリオール響。洗練された管楽器の音と、自身ヴィオラ奏者だったデュトワが調教した繊細な弦楽器、そのエスプリ溢れるアンサンブルの妙をご堪能ください。
おすすめ平均:
やっぱりフランス人
華麗で気品溢れる決定盤
後のも先にもラヴェルはデュトワ
心浮き立つ世界へ
「ダフニスとクロエ」の「夜明け」が絶品!一度聴くべし!
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