2008.08.03

Movies

Malena 邦題:マレーナ

「ニュー・シネマ・パラダイス」といえば、映画ファン巡礼の地。とはいえ、ジュゼッペ・トルナトーレはスピルバーグとは違います。彼のモットーは「大衆演芸」ではなく「ポートレイト」なのです。「ET」のように、見るものすべてをとりこにするのではなく、「海の上のピアニスト」のように感じる人間を限定します。同じ痛みのわかる人間だけに・・・。

第2次世界大戦前夜の1940年晩春。シチリア島の小さな漁村カステルクトに住む少年レナートは、村で評判の美しい大人の女性、マレーナに一目ぼれ、初めての恋をします。

マレーナは結婚して村にやってきましたが、夫ニノはすぐに戦地に向かい、彼女は一人でつつましく生きていました。しかしあまりの美しさに、村の男たちが放っては置かない。熱い視線を送り、あれやこれやとちょっかいを出し、女たちはそんな彼女に対する嫉妬心で一致団結。

一方、思春期を迎えたレナートは寝ては夢、起きてはうつつ幻状態。昼に夜に彼女の姿をを追いかける日々。今時だと完全に「ストーカー行為」の現行犯です。でもね、時に男性の方で、こういう初恋の経験ってないですか?

レナート12歳、マレーナ27歳。倍以上も年が離れているんだけれど、大人の女性への性的な憧れと相まって、彼の一途な思いは燃え上がるばかり。しかし、大人として認めてもらえない彼が、彼女の世界に足を踏み入れることはおろか、声をかけることすらも出来ない。

そんな時代も、男性にはありますよね。年上の女性に恋する時期って・・・。えっ?私だけ?

彼女を取り巻く日常や、レナートの成長の軌跡を表現するのに「性」が切り口となっているため、女性の方にはなかなか理解しがたいものもあるのかもしれませんが、ジュゼッペのこの昔話、私個人的にはすごくいい感じ、居心地のいい感じです。

むしろ、モリコーネ・メロディにほだされたニューシネマよりも、ストレートに主人公レナートの心模様が伝わってくる。マレーナは彼にとって性的な対象でもあるわけですが、それ以上に「男」とは違う「女性」というものへの憧れ、生きがい、恋の葛藤が手に取るようにわかります。

少年であるが故の純粋に捉えがちなレナートの一途な思いも、実は登場するすべての愚かな大人の男女、愚かに物を見、感じ、生きている彼らと、レナート自身が漕いでゆく自転車のその先ではひとつに繋がっていることを、彼もきっと理解していたに違いありません。

ただ、エンディングの自転車で走り去るシーンでは、レナートには一切後ろを振り向いて欲しくなかった。そこは、二度とこない思い出の場所でしかないのだから。振り向かずに、まっしぐらに大人の世界に向かって欲しかった。もう一工夫ですわ、トルナーレさん!

ああ、モニカ・ベルッチですか?ええですわ〜、一少年として憧れます、いろんな意味で・・・^_^;

出演:モニカ・ベルッチ,ジュゼッペ・スルファーロ,ルチアーノ・フェデリコ,マチルド・ピアナ

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 2000年

音楽:エンニオ・モリコーネ

BOSS的には・・・★★★★

マレーナ
モニカ・ベルッチ

日活
2001-12-21
Amazon.co.jp ランキング: 7815位

おすすめ平均:4.5
5反戦映画であり、純愛ドラマ
5美しい作品です。
5人の振り見て我が振り直せ

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