2008.08.07
PERFUME: THE STORY OF A MURDERER 邦題:パフューム ある人殺しの物語
個人的には、まあまあ匂いには敏感な方で、もちろん人並みにいい匂いは好きだし、嫌な匂いは嫌いです。だいたいいつも、3つのトワレとかがあって、香りを楽しんでいますし、お香やアロマキャンドルも好きですが・・・。今日ご紹介する映画は、とてつもなく香りに敏感な人間としてこの世に生まれたがゆえに、殺人鬼と化してしまった男の物語です。
スピルバーグとスコセッシが奪い合ったという、世界45カ国で合計1500万部を売り上げたパトリック・ジュースキントのベストセラー小説を、ドイツ出身のトム・ティクヴァが映画化したらしいのですが・・・。
時は18世紀のパリ。強烈な悪臭の立ち込める魚市場で、魚の内臓の中に産み落とされた赤ん坊、ジャン=バティスト・グルヌイユ。孤児院で育った彼は、一切の体臭を持たず、また数十キロ離れたさまざまな匂いをかぎ分けられる能力を持っていました。
ふとしたことで、調香師ジュゼッペ・バルディーニ(ダスティン・ホフマン)に弟子入りすることになった彼は、やがてパリきっての人気調香師になります。
そして彼が究極の香りを求めたのは・・・。
実はこの映画の主人公は、彼ではなく「匂い」なのです。人々は「匂い」を愛し、「匂い」を求め、それは激しい憎悪さえも「愛の衝動」に変えてしまう。
そういう人間の弱さ、脆さを、純粋に香りを求め、その引き換えに次々と少女を殺めてゆく主人公に重ねます。問われているのは、彼の行為ではなく、危うく脆い心を持った私たち観衆なのです。
トム・ティクヴァはそういう香りの「魔性」を原作の持つユーモアを交えながら、華麗に表現して見せます。ドイツ人らしいラトル指揮ベルリンフィルの音楽と重なり合って、いい匂いと悪い匂いが私たちの心を捉えます。香りを求める殺人には、エロスが漂います。
しかし、個人的にはどういう理由であろうと、やはり人を殺めることは許されることではない。最終的には彼には、神の審判が下ることになるのですが、公開処刑の場を愛の劇場に変えてしまう「香り」は、快楽と引き換えに人類が手にしたAIDSのような気がして、エロティックというよりは寒気を感じてしまいました。
私たちも、いつ何時、そういうことに翻弄されるかもしれない。すれ違いざま、一瞬漂う「いい香り」に・・・。そういう警鐘を、この映画は伝えているような気がします。映像作品的には「★★★」なのですが・・・。ちなみにPG-12指定です。
出演:ベン・ウィショー,レイチェル・ハード=ウッド,アラン・リックマン,ダスティン・ホフマン
監督:トム・ティクヴァ 2006年
BOSS的には・・・★★☆☆☆
ギャガ・コミュニケーションズ
2007-09-07
Amazon.co.jp ランキング: 3524位
おすすめ平均:
香りに憑かれた男の数奇な物語
麻薬?
途中から、緊迫感のないサスペンスになってしまった。
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