2008.10.26

Movies

Platoon 邦題:プラトーン

我々は、「3大○○」というのが大好きで、「3大秘湯」だとか「3大オペラ」とか「3大」と名のつくものは数知れず。で、映画>戦争映画>ベトナム戦争物と階層をたどっていって、「3大ベトナム戦争映画」というのがやはりあって、コッポラの「地獄の黙示録」、キューブリックの「フルメタル・ジャケット」、そして今日ご紹介するオリヴァー・ストーンの「プラトーン」をさします。

本作は、「地獄の黙示録」で活躍したマーチン・シーンの息子、チャーリー・シーン演じる一人の新兵の一人称を通してみた、ジャングルでのまさしくベトナムにおける戦闘と、それを通して「人」の善と悪を描いた作品。

第59回アカデミー賞(作品賞・監督賞・編集賞・録音賞)、第44回ゴールデングローブ賞(ドラマ部門作品賞・監督賞・助演男優賞)、第41回英国アカデミー賞(監督賞・脚本賞)、第2回インディペンデント・スピリット賞(作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞)、第37回ベルリン国際映画祭・銀熊賞(監督賞)、第22回カンザスシティ映画批評家協会賞(監督賞)、第7回ボストン映画批評家協会賞(監督賞)、第11回日本アカデミー賞・最優秀外国語作品賞などなど受賞。

プラトーンとは4、50名で構成される小隊のこと。1967年、裕福な家庭に育ったインテリのクリス・テイラー(チャーリー・シーン)は、同年代のしかも貧困層や黒人などが次々と戦場へ送られる現実に憤りを感じ、大学を中退して志願しベトナムにやってきます。カンボジア国境近くの前線に配属され、実際に体験する戦争とは、それまでの彼の想像をはるかに超える過酷なもので、自らのベトナム行きの判断を後悔します。

しかし、「戦場」という現実の中、生きるか死ぬか、あるいは殺るか殺られるしか、選択肢はない。ある日、小隊はベトコンと密通していると思われる小さな村に出かけます。はたして、村人の数にしては多すぎる食糧と、隠し持っていた武器を発見した冷酷非情なバーンズ軍曹(トム・ベレンジャー)は、尋問に非協力的な無抵抗の村民を射殺。正義感の強いエリアス軍曹(ウィレム・デフォー)はこの行為を激しく叱責します。

二人の対立が表面化し、小隊も二派に分かれてしまいます。まるでどこかの会社の内紛のようです。そして1968年1月、テト攻勢の真っ只中、二人の対立はついに「事件」へと発展します。

舞台はほとんどがジャングルです。ベトコン以外に、蒸し暑さや嵐、蚊やヒルなどと戦いながら、そもそもこの戦争の意味を理解していない、いやそもそもアメリカにとっては、見当違いの大義名分しかなかったわけで、兵士たちの士気は限りなくゼロに近づきます。

それでも「自らの死」という現実はいつも彼らの隣にあるわけで、彼らの心はどんどん個人的なものへ、その人間の持つ「正義感」や「冷酷さ」、「フレンドリー」や「臆病」といったものに純化してゆきます。

テイラーの小隊はこの戦争の縮図でもある、実戦経験のない士官学校出のウォルフ中尉のもと、人としての正義を貫こうとするエリアスと、死を超えて戦闘が生きがいとなった冷酷なバーンズのトライアングル。テイラーは、もちろんエリアスに近いわけですが、時として恐怖や高揚が暴走し、バーンズ側に大きく振れそうになる。途中、「まるで十字軍だ」と言われた彼、実は彼もこの戦争の意味を見出せないまま、死の地に立っていたのでした。

トム・べレンジャー、ウィレム・デフォーの二人の演技がいい。それは人間が生まれながらに持っているさまざまな二面性、善と悪、温情と冷酷、理性と感情などを表しています。その二つの神の間に立つテイラーは、状況が過酷であればあるほど、人はその2面性の間で揺れ動き、正しく生きるための判断を簡単に失ってしまうことを伝えます。

チャーリー・シーンもジョニー・デップも、先の二人もほとんどがデビュー作。というか、予算の関係で無名の新人を使わざるを得なかったという事情もあるようですが、そんなうぶさなど微塵も感じさせない素晴らしい演技とシーン展開。さすがは巨匠オリバー・ストーンです。

ジョニー・デップ、若っつ!(笑)

さて、「戦争は悲惨である」などと、陳腐な言葉を並べるつもりはありません。これはベトナム戦争を舞台にした、答えの無いヒューマン・ドラマだと思います。

ところで、バーンズ軍曹のアサルト・ライフルは「M4」?おかしいなぁ〜この時代に・・・と思ったら、「M16」の改良型試作品「XM177」だったんですね!彼はあくまで、マニアックです。えっ?私も?

出演:チャーリー・シーン,トム・ベレンジャー,ウィレム・デフォー,フォレスト・ウィテカー,フランチェスコ・クイン,ジョニー・デップ

監督・脚本:オリヴァー・ストーン 1986年

BOSS的には・・・★★★★★

プラトーン (特別編)

おすすめ平均:4.5
5何回も観た!
1戦争肯定映画
5終盤の襲撃シーンは秀逸
5ゲームがらみ。ギアーズオブウォー。
5見れば見るほどに

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