2008.10.04
殯(もがり)の森
山間にあるグループホームを舞台に、亡き妻を偲び続ける認知症の男性と、息子を亡くした介護ヘルパーが、深い森の中で弔い喪することで共感しあう映像作品(?)。2007年度カンヌ国際映画祭グランプリ(審査員特別賞)受賞作品。
奈良県東部のとあるグループホーム。ここで最後の余生を暮らす老人たちの中に、33年前に妻を亡くした認知症のしげき(うだしげき)がいました。彼は未だに、妻真子の死を受け入れることが出来ない。
そこに一人の新しい介護ヘルパーがやってきます。真千子(尾野真千子)。しげきの死んだ妻と一文字違い(年代から言えば逆だろう?)の彼女は、自らの過失で幼い息子を死に追いやってしまい、そのことが心に重くのしかかっていました。
ある日、二人は車で出かけることになるのですが、車が途中で脱輪して立ち往生。真千子が人を呼びに車を離れた隙に、しげきは深い森の中へを足を踏み入れます。
「カンヌを受賞、美しい日本の風景を独特の目線で切り取った・・・。」という前振りを知った上で見てみたのですが・・・。
正直、まったく理解できないし、ついていけないし、後半は早送りしてしまいました。
撮られた風景は確かに美しい場所です。でも、だからどうした?の感、拭えず。地元住民らしき出演者によるリアリティ(?)の狙いも、私的にはフィクションによるリアリティ演出を避けただけの、不自然な日常記録にしか思えない。
にもかかわらず、あんな山奥からどうやって町まで自転車で通うのか?とか、なんで右側に脱輪するのか?それも唐突に・・・、とか、自然と不自然がごちゃまぜになっている。
見ていて、主人公が恐くて、いつ真千子が襲われるのかと思っていたら、逆になんで裸になって抱き合ったりするのか、全く理解できない。
シーンの間も悪いし、意味不明のカットも多数。12歳の神童、坂牧春佳のピアノ演奏も、なんでピアノでなきゃいけないのか、最初から最後まで意味不明。それもこれも、またまた女性監督と私の相性の問題なのでしょうか?どうもこの手の、井戸端会議的志向性無き永続的展開は理解できない。
なんだか、カンヌ受けというかフランス人受けを狙ったドキュメンタリータッチの作品にしか思えない。何も感じないし、何も入ってきません。
もうひとつ、言わせていただければ、避けることの出来ない「人の死」をこういう形で弄ぶな!と、私は言いたい! ^_^;
日本人の魂とか、鎮魂とか言われているけれど、日本人はこんなの?河瀬監督、小此木啓吾著の「対象喪失」とか、懸田克躬著「愛について」とか、是非一度読んでみては?
正直、こんな突き放しておきながら、べたべたと感じさせる物語は苦手です。人間って、残酷だけれど、人間ってもっと温かい、はず。
出演:うだしげき,尾野真千子,渡辺真起子,斉藤陽一郎,ますだかなこ
監督:河瀬直美
BOSS的には・・・★☆☆☆☆