2008.11.20
ショパン ピアノ協奏曲第一番 ホ短調 作品11(1930)
ショパンと言えばピアノ。しかし彼は生涯に2曲のピアノ協奏曲しか残しませんでした。以前ご紹介した2番と今日の1番。ご紹介の順序が逆になったのは、実はこの1番の方が後から作られたからなのです。まあ、ほぼ同時と言ってもいいのですが・・・。
ということで、後から出来たものの、その曲調は作品21と大きく異なるわけではなりません。若き彼の精細な情緒と溢れ出る感情が、ショパンの調べで歌われます。
やや稚拙といわれる彼の管弦楽による第一、第二主題の演奏の後、彼らしい調べのピアノ独奏が始まる第一楽章。そしてそのタッチは、一気に超技巧の高みへと上り詰めます。
第二楽章は、うって変わってノクターン風の優雅な調べになります。この楽章については、彼の親友に宛てた手紙がそれを正しく伝えています。
「ここでは僕は、力強さなどは求めはしなかった。むしろ浪漫的な、静穏な、なかば憂鬱な気持ちで、楽しい無数の追憶を喚起させる場所を眺めるような印象を起こさせようとしたのだ。たとえば、美しい春の月明かりの夜のような。」
作品21と同じく、やはりコンスタンツィア・グワドコフスカへの想いが込められているのでしょう。
最終楽章は、溌剌としたしかし優雅で高貴な民族風ロンドです。そして演奏に必要とされる技巧もそうとうなものが要求されそうです。
演奏は、アルゲリッチ&アバド指揮ロンドン響。若きショパンのほとばしる情熱と技巧に、しっかりと答えます。
月の美しい夜に、第二楽章10分間の逢瀬を・・・。