BOSS's Column

私の大好きな映画「エリザベスタウン」の監督であり、トム・クルーズ主演の「ザ・エージェント」でブレイクしたキャメロン・クロウ。実は彼は、１５歳の時にロック・ジャーナリストとしてデビュー。以来、ローリング・ストーン誌のトップ・ライターとして活躍し、十代にしてすでに多数のアーティストたちを取材していました。

「ローリング・ストーン誌」と渋谷陽一は、あの頃の私たちの道しるべであり、またロック魂の伝道師でもありました。

これは、ロックバンド「ハート」の、あのエロかっこいいギタリスト、ナンシー・ウィルソン

の旦那でもあるキャメロン・クロウ自身の当時の体験を下に描かれた青春ロードムービーです。

大学教授の母（フランシス・マクドーマンド）と姉アニタ(ズーイー・デシャネル)と３人暮らしの知的で陽気な少年ウィリアム(パトリック・フュジット)。姉は、自分を理解しようとしない母親の元を出てゆきますが、その時弟ウィリアムに数枚のロックのアルバムを残してゆきます。

以来、ロック音楽に陶酔した彼は、学校新聞や地元新聞に音楽記事を投稿。それがローリング・ストーン誌の編集者の目にとまり、売り出し中の新進バンド「スティルウォーター」のツアー同行取材を依頼されます。ウィリアム少年の「愛と青春の旅立ち」です

そこで彼は、このバンドのグルーピーのリーダー的存在である不思議な女の子、ペニー・レイン（ケイト・ハドソン)に出会います。

１５歳の、心の底からロックを愛して止まない少年と少女が、大人への扉を超えてゆく。一方で当時、加速度的に商業主義に流れつつあったロック・シーンと、そのことで自らを見失い、性とドラッグに落ちてゆくミュージシャンたち。

しかしミュージシャンたちも彼らのファンも、実は本当は音楽を心から愛していて、音楽とともに生き、音楽にそっと寄り添い、また音楽にしっかりと支えられて生きている。根っこのところは、実はただそれだけのことなのです。

サイモン＆ガーファンクル、ザ・フー、イエス、ロッド・スチュアート、パープル、ツェッペリン、トッド・ラングレン、オールマン・・・。

私の好きな、あの頃私の愛した、いや今でも愛して止まないミュージシャンたちと、彼らが紡ぎ出す愛しい音楽。ただの年寄りのノスタルジーだけではない、当時のロック音楽の持つシンプルなメッセージやストレートなエネルギー、そこには素直な人間の奥底に流れているのと同じ「愛」があります。

以前「１０日間で男を上手にフル方法」でご紹介したケイト・ハドソンは、当時２１歳。母親ゴールディ・ホーンゆずりのキュートな唇と愛らしい瞳を見ていると、ウィリアムでなくても恋に落ちそう。「エリザベスタウン」に通じる、素直でストレートな、じんわり温まる映画です。

映画の中で使われた曲のリストは以下の通り。

"America" Simon & Garfunkel
"Sparks" The Who
"It Wouldn't Have Made Any Difference" Todd Rundgren
"I've Seen All Good People:Your Move" Yes
"Feel Flows" The Beach Boys
"Fever Dog" Stillwater
"Every Picture Tells A Story" Rod Stewart
"Mr. Farmer" The Seeds
"One Way Out" The Allman Brothers Band
"Simple Man" Lynyrd Skynyrd
"That's The Way" Led Zeppelin
"Tiny Dancer" Elton John
"Lucky Trumble" Nancy Wilson
"I'm Waiting For The Man" David Bowie
"The Wind" Cat Stevens
"Slip Away" Clarence Catter
"Something In The Air" Thunderclap Newman

７０年代ロックを食べて生きてきたロックおじさんに。ロックをこよなく愛する映画ファンに。あとは、ケイト・ハドソンの微乳ファンに。ちなみに「ペニー・レイン」でも、「ビートル」系ではありません。

出演：パトリック・フュジット,ケイト・ハドソン,ビリー・クラダップ,フランシス・マクドーマンド,ジェイソン・リー,アンナ・パキン,フェアルーザ・バーク

監督：キャメロン・クロウ　2000年

BOSS的には・・・★★★★☆

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