2008.11.09
Der Untergang 邦題:ヒトラー〜最期の12日間〜
田舎育ちの高校生が、都会の大学に出てゆくと、真っ先に受ける洗礼は、マルクス・レーニン主義。かつてそんな時代がありました。今時では想像もできませんが・・・。初めての夏休み、田舎に戻ってきた友人たちは、こぞって共産主義を謳いあげていた中で、私が触れ彼らに語った書物はアドルフ・ヒトラー著「我が闘争」でした。
ヒトラーとナチスの残した負の遺産はあまりにも大きく、いまでも先述の著書はドイツ国内では手に入らないそうです。そんな「ナチスドイツ総統 ヒトラー」は、自ら命を絶つ1945年4月30日の前日に、それまで長く連れ添っていたエヴァ・ブラウンと結婚し、翌日二人とも自殺します。
この映画は、ベルリン陥落直前、迫り来るソ連軍に抗するため、首相官邸地下の要塞に退却してからその死までのナチス党総統アドルフ・ヒトラー(ブルーノ・ガンツ)を、秘書として彼に仕えたトラウドゥル・ユンゲ(アレクサンドラ・マリア・ララ)の目を通して描かれた実話ドラマです。2004年バンビ賞、2005年ドイツ・アカデミー賞最優秀男優賞・最優秀製作賞・観客賞受賞。
今更、彼の独裁者ぶりや悪行をとやかく言うつもりはありませんし、あの不幸な時代を論評するだけの知識も見識もありません。ただ、ベルリンの壁が崩壊し、戦後60年経ってやっと、ドイツ語圏の俳優(正しくはスイス人)がヒトラーを演じた意味は、我々同盟国として戦った歴史を持つ東洋の島国の人間の理解をはるかに超えた大きな意味があったようです。
これは、一人の男の「夢が滅び」、また権力の頂点に登りつめた人間の「失脚の顛末」です。ただ、その一人の人間の夢の背後には、命を散らした5000万人の若者がいたことを、平和ボケの私たちも決して忘れてはならないのでしょう。
観て楽しい映画ではありません。でも私たちは時折、こうやって歴史に触れ、歴史から気づかされる必要があります。現代の私たちは、あまりにも利己的であり、矮小な個人主義者に成果ててしまっているから・・・。
出演:ブルーノ・ガンツ,アレクサンドラ・マリア・ララ,コリンナ・ハルフォウフ,ユリアーネ・ケーラー
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル 2004年
BOSS的には・・・★★★☆☆
おすすめ平均:
ブルーノガンツの名演技
何故こんな邦題に…
暗く、長い、敗戦の記録
20世紀史上最悪の人間であり、20世紀史上最も孤独だった独裁者
タイトルどおりじゃありません
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