2008.12.16
LIVE AT THE FILLMORE EAST by Miles Davis (1970)
JAZZ投稿1年半ぶりになります。この間、何をやっていたのか?実はちょっとヤボ用があって火星まで行ってました。M行マイルスも佳境へ、時代は「1970年のコンニチハ!」です。
私の愛蔵CDとしては4枚前の「1969マイルス」でご紹介したロスト・クインテットの、実は最後のアルバム。わずか半年あまりの間に、マイルスには大きな変化がありました。
「1969マイルス」でフリーに吹きまくった直後の問題作「ビッチェス・ブリュー」の録音。そして60年代への決別とエレクトリックへの完全な転換。そのためにはメンバーの入れ替えも辞さない「世界の中心マイルス」。
バンドから放り出されてはと、いち早くエレピに馴染んだチックは3歩先を行ってます。ホランドも電気ベースのなんたるかをつかんだ模様。デジョネットは・・・相変わらずしばきまくりです。
でなぜロスト・クインテットの最後のアルバムなのか?実はこのツアーをもって、1964年の「Miles In Berlin」以来、バンドの脇を固めていたウェイン・ショーターが去ります。お払い箱になったのか、自ら去ったのかはわかりませんが、1ヶ月後の「Fillmore West」には、ショーターに変わり新進のスティーブ・グロスマンが参加します。
実は、この2枚のアルバムを聞き比べてみるとその理由がはっきりわかります。マイルス、チック、ホランド、デジョネットは明らかに変化し進化している。というか、同じ「Directions」をやっていても、まったく別世界別次元の演奏なのです。
ところがところが、何も変わらないのがショーター。ソプラノを持ったときは意外に健闘を見せるものの、テナーになるとかつてのマラソンセッション初期のコルトレーンも真っ青の違和感。まあ、放り出されても仕方がなかった?
というか、それほど自らの目指すものに対して、自分にもメンバーにも厳しいのがマイルスさまであり、だからこそ40数年の音楽人生の中で、あれほどの変貌と進化を遂げられたのでしょう。
演奏自体は、先にお話したとおり、「ビッチェス以降」といえる新しい世界。2枚組のこのアルバム、1枚目が1stステージ、2枚目が同日の2ndステージとなっていて、曲目も若干違うのですが、違うのはむしろ演奏の方。
1stではある意味「1969」の発展系延長上の演奏なのですが、2ndになると新たな何かに挑戦するマイルスがいる。新しい音、新しいフレーズ、新しい展開・・・。チックも「リーターン・トゥー」やってます(笑)。つまりこの2枚で、あくなき、欲深きマイルス物語がちゃっかり堪能できます。ってことは、さらにショーター、ますます不利な展開となるわけで・・・^_^;
全体的には、あまり抜けのよくない音ですが、この時期はむしろこんな怒涛の勢いといいますか、音の洪水に流されることを楽しむ時代でもありますので・・・1ヵ月後には、サックスを入替え、バンドはNYからLAに飛びます。