2008.12.04
Stand by Me 邦題:スタンド・バイ・ミー
ごく日常の中のちょっとした不思議を描く「モダンホラー」の先駆者スティーブン・キングの小説「恐怖の四季」の中の1編を、ロブ・ライナーが映像化した青春ドラマ。映画もさることながら、エンディングのベン・E・キングが歌うタイトル曲も有名ですよね。ちなみにこの小説の第一話は、映画「ショーシャンクの空に」です。
オレゴン州の小さな田舎町に住む4人の少年が、行方不明になった少年の死体を見つけようと、線路づたいを歩きながらちょっとした冒険旅行に出かけます。小学校を卒業し、中学に進む前の夏休み。これまでの仲良し4人組も、新しい生活を前に、いや大人への大きな扉を前に、道すがらに自分探しをします。
両親の愛情を一身に受けていた兄を交通事故で亡くし、失意の家の中で孤立している主人公のジョーディ(ウィル・ウィートン)。彼の親友で、アル中の父と不良の兄を持ち、給食代をくすねたことで人間不信に陥っているクリス(リヴァー・フェニックス)。目と耳が悪く、第2次大戦に参加した父を誇りに思っているが、その父から虐待を受けているテディ(コリー・フェルドマン)。ふとっちょで意気地なし、物忘れが激しいが憎めない性格のバーン(ジェリー・オコンネル)。
特に、ジョーディとクリスは、ある意味似たもの同士がゆえに親友です。それは、二人ともが大人への成長に欠かせない糧である「愛情」が欠けているということ。そんな心の空腹を、子供らしいほのかな「友情」で満たそうとします。
この映画は、青春というより少年時代の金字塔のように語られることが多いのですが、登場人物たちの時代でなければ役に立たないというような現実主義的な立場で見るのではなく、成長の過程で人は何を思い、何に迷い、何に悩み、何を必要としているのか。そんなことを、ひとつの仮説として私たち大人に提示してくれる物語だと思います。
彼らの行動や会話は、一見あまりにも子供っぽいような気がします。しかしそういう私たちの日常の会話や行動が、どれほど彼らより大人びていると言えるでしょうか?
子供から大人への成長は、確かに大きな変化を伴います。そして大人になれば、自分はもう完成したのだと、成長や過渡期というものに対して無頓着になります。それは恐らく老化であり、退化でしょう。確かに肉体のピークは10代です。しかし、心や魂は永遠に成長と進化を続けるものです。
その道は、彼らの目指したような、どこまでも続く光り輝く2本のレールと、道すがらの思い出が待っているのです。
あなたは今でも、その好奇心の先へと、歩み続けていますか?
出演:ウィル・ウィートン,リヴァー・フェニックス,コリー・フェルドマン,リチャード・ドレイファス,キーファー・サザーランド
監督:ロブ・ライナー 1986年
原作:スティーヴン・キング
BOSS的には・・・★★★★☆
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