2009.01.05
As Good As It Gets 邦題:恋愛小説家
潔癖症で毒舌家、人を寄せ付けない変わり者の小説家が、行きつけのレストランのウェイトレスやアパートの隣人との交流を通して、人並みの恋ができるようになるまでの成長と変化を描いたラブ・ロマンス。
マンハッタンの高級アパートに住むメルヴィン・ユドール(ジャック・ニコルソン)は、人気の恋愛小説家。でも実生活では、中年を過ぎていまだ独身、極端な潔癖症でありまた人を寄せ付けない毒舌家の嫌われ者です。
そんな彼が、ある日隣人でゲイの画家サイモン(グレッグ・キニア)の愛犬をあずかることになり、それがきっかけで人としての心の柔らかさや優しさを少しずつ取り戻し、逆にそのことで寂しさや痛みを味わうようになります。彼の毒舌と潔癖性は、実は自らを傷つけられたくないためだったのです。
何と言ってもジャック・ニコルソンです。ほんとに、この役者さん、好きですねぇ〜。変人ぶりも地で行くようで素晴らしいのですが、次第に人間らしさを取り戻してゆくプロセスや、ちょっとした表情とか仕草とか、もう本当に完璧です。
ヒロインのキャロル・コネリー演じるヘレン・ハントも、地味ですが変人メルヴィンに恋に落ちてゆく喘息もちの息子を持つシングルマザーというややこしい役を、これまた素晴らしい表情と演技で演じきっています。そうそう、ワンちゃんもいい演技してますねぇ。
監督は、映画経験は少ないものの、CBSやABCで人気シリーズを手がけたジェームズ・L・ブルックス。私も大好きな、ナット・キング・コールの「For Centimental Reason」などの素敵な音楽セレクトはハンス・ジマー。そして何よりもこの映画の本当の主人公、素敵な台詞の数々は、マーク・アンドラスとブルックス監督自身によるものです。
自分以外の誰かと関わること、恋をすること、誰かを愛することは、把握し理解できる自分という縄張りの中に、実は他の誰かが住み始めることになります。そのことで、わずらわしさや困惑が増え、またひどく傷ついたり悲しい思いをしたりすることもあります。
しかしそれこそが、人の心の成長の「糧」であり、成長と言っても大きくなるとか立派になるとか言うことではなく、「生きることそのもの」であることを教えてくれる、素晴らしい作品です。
引きこもりのあなたにも、失恋の痛手から未だ立ち直れないあなたにも。そして今、幸せの真っ只中にいるあなたにも。アカデミー主演男優賞・女優賞受賞。
出演:ジャック・ニコルソン,ヘレン・ハント,グレッグ・キニア,キューバ・グッディング・ジュニア,スキート・ウーリッチ
監督:ジェームズ・L・ブルックス 1997年
BOSS的には・・・★★★★☆
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