2009.01.08

Movies

CALLAS E ONASSIS 邦題:マリア・カラス 最後の恋

豊かな歌唱力と表現力で20世紀オペラ界の頂点を極めた歌姫、オペラファンでなくてもその名前には聞き覚えのあるであろうマリア・カラスの、没後30周年を記念して制作された伝記物。トスカの如く「歌に生き恋に生き」た1人の女性マリアの、ヒューマンドラマでもあります。

callas_e_onassis.jpg1923年、貧しいギリシャ移民の子供としてニューヨークに生まれたマリア・カラス(ルイーザ・ラニエリ)。ギリシャに渡って歌を学び、15歳の時アテナイ王立歌劇場でオペラデビュー、27歳でスカラ座、43歳でメトロポリタン歌劇場デビュー。ソプラノ歌手として頂点を迎えていた彼女が出会ったのは、同じギリシャ人で世界の海運王アリストテレス・オナシス(ジェラール・ダルモン)でした。

無名時代にチャンスをくれたイタリア人実業家ジョバンニ・メネギーニ(アウグスト・ザッキ)の妻である彼女と、事業のため同じ海運王の娘アシーナと結婚したオナシス。しかし二人は、世紀の歌姫と海運王ではなく、同じような生い立ちを持つ男と女として、やがて愛し合うようになります。

20世紀最大の海運王と呼ばれる男も、そもそもは1人の男。そして世紀の歌姫も1人の女。華やかな事業や社交界の裏には、私たちと同じような男と女の間の情熱と葛藤がありました。そして、私たちと同じような、些細な過ちも、ボタンの掛け違いも・・・。

彼女はオナシスとの結婚を望んでいました。彼のそばに寄り添い、彼の為に料理を作り、彼の子供を育てるというごく普通の夢。それをくじいたのは、オナシスの自己中心的な考えでもなく、彼の元ケネディ大統領夫人との政略結婚のためでもなく、実は彼女自身の歌姫として生まれた「さだめ」だったのです。

時代も貧富も関係なく、人は心の奥深いところで響き合い繋がりあってこそ、血が、命が行きかう間柄を保つことができる。この映画を観て、そんなことを思いました。

オナシスと別れて10年後の1977年、「歌に生き恋に生きた」1人の女性マリア・カラスは、パリの自宅でひっそりと55年の生涯を閉じます。

出演:ルイーザ・ラニエリ,ジェラール・ダルモン,アウグスト・ズッキ,セレナ・アウティエリ,ロベルト・アルバレス,ルチア・サルド

監督:ジョルジオ・カピターニ 2005年

BOSS的には・・・★★★☆☆

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