2009.01.12

Movies

Dances with Wolves 邦題:ダンス・ウィズ・ウルブズ

南北戦争時代のアメリカ中西部を舞台に、1人の北軍中尉と西部の大自然、そしてスー族インディアンたちとの心の交流から、人は何を大切にして生きてゆくべきかを問いかけるある種の西部劇。

先住民族を虐殺駆逐し、バッファローを絶滅寸前に追いやった白人アメリカ社会に対する問題定義と、フロンティアへの敬意・郷愁を表したマイケル・ブレークの原作は、出版当時白人社会から拒絶されましたが、共感した俳優のケビン・コスナーが「フィールド・・・」などで築いた私財を投じて映画化。第63回アカデミー賞作品賞・第48回ゴールデングローブ賞・作品賞受賞作品。

dances-with-wolves.jpg1863年、南北戦争の激戦地テネシー州セント・デービッド。負傷を追った北軍中尉ジョン・ダンバー(ケヴィン・コスナー)は、無益な内戦に辟易し、自殺を覚悟して敵前に単身飛び出します。そのことで戦闘に勝利した彼は一躍英雄となり、殊勲者として勤務地を選ぶ権利を与えられます。

「フロンティアが見たい。」そんな思いの彼は、サウスダコタのセッジウィック砦に赴任しますが、そこは誰一人いないもぬけの空の地でした。砦で1人、愛馬シスコとトゥー・ソックスと名づけた野生の狼との暮らし。しかし彼は満ち足りていました。

1ヵ月後のある日、シスコを盗みに来たインディアンと初めて遭遇。戦々恐々としていた彼は、恐怖を待ち受けるのではなく自ら扉を開こうと、正装してインディアンの集落を目指します。

途中、怪我をした青い目のインディアン女性「握って立つ女」(メアリー・マクドネル)を助けた彼。そのことをきっかけにスー族たちとの交流が始まります。

西部開拓時代とその後のインディアンの悲劇は、皆さんもよくご存知の通り。これは何もアメリカに限った話ではなく、日本のアイヌ民族やオーストラリアのアボリ人たちも同様の悲劇を経験しました。

もちろん、開拓者たちが悪であり、駆逐された先住民が善というような単純な話ではありません。双方ともが、避けがたい「時代」に翻弄されたのです。

そもそもこの映画は、先にお話した問題定義が主題なのですが、地球環境保全やエコが叫ばれる21世紀に、もう一度彼ら先住民族の、自然の動植物、もっといえば地球そのものと営々と共生してきた生き方に学びなおしてみる必要があると思います。

映画の中で彼らインディアンが、贈り物を交換するシーンが何度か出てきます。そう、彼らは価値の代替手段である通貨を持たない。そして贈り物は彼らにとっては心の交換であり思いを伝える手段なのです。

GDPの何十倍にも膨らんだ貨幣経済に振り回される21世紀の私たちは、「ロハス」とか「エコ」とかファッショナブルに語ることなく、「素」で、「人が生きることの意味」「生きることの価値」、そして「心を贈り」「心を伝えること」の意味をもう一度見直す必要があると、感動にウルウルしながら思いました。

出演:ケヴィン・コスナー,メアリー・マクドネル,グラハム・グリーン,ロドニー・A・グラント

監督:ケヴィン・コスナー 1990年

原作:マイケル・ブレーク

BOSS的には・・・★★★★★

ダンス・ウィズ・ウルブズ 通常版 [DVD]

おすすめ平均:4
5流石だぞ コスナー
4映像美で描く、征服者と先住民の壮大な物語
3賞を獲ったからといって面白いとは限らない
4「蹴る鳥」の彼が良い!!
4え!ホントにK.コスナーが監督?

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