2009.01.13
EL LABERINTO DEL FAUNO/PAN'S LABYRINTH 邦題:パンズ・ラビリンス
第2次世界大戦下のスペインを舞台に、内戦で父親をなくした薄幸の少女が過酷な現実と理想の迷宮の狭間を彷徨いながら真実を見つけるダーク・ファンタジー。メキシコ・スペイン・アメリカ合作映画。第79回アカデミー賞撮影賞・美術賞・メイクアップ賞受賞。PG-12指定作品。
1944年のスペイン、フランコ将軍による内戦終結後の弾圧の最前線。独裁主義の大尉と再婚した母とともに、反乱軍討伐の最前線の大尉の下に赴いた少女オフェリア(イバナ・バケロ)。恐ろしい義父から逃れたいと願う御伽噺好きの彼女は、自分の中に現実とは異なる理想の世界を創造します。
妖精に導かれ、迷宮への入り口に立った彼女は、迷宮の守護神パンから、彼女が本当は迷宮のプリンセスであり、3つの試練を乗り越えればその迷宮に戻れると語ります。
血なまぐさい殺戮に溢れる奥深い森に、ぽっかりと明いた迷宮への扉。彼女は、与えられた試練という名の「世俗欲」、仏教で言うところの「色」を超越し、魂のあるべき姿へと導かれます。恐れ、欲望、悲しみ。それらがふるい落とされた時、残された人の魂は美しく輝き始める。
メキシコには、内戦後多くの文化人が亡命しました。そのことから、この映画はかの独裁政治をファンタジーでまぶして批判した作品ともとれますし、ややこしいことは抜きにして一種のファンタジーとして観ることも可能です。いや、本当はそういう作品なのかもしれません。
しかし、「ハムレット」の因縁を背負って死んでいった「オフェリア」と彼女を重ねてしまうのは、ちょっと飛躍しすぎた見方でしょうか?「命を奪う」ことと「魂を奪う」ことの違いを、この物語は語りかけてくるような気がします。
出演:イバナ・バケロ,セルジ・ロペス,マリベル・ベルドゥ
監督:ギレルモ・デル・トロ 2006年
BOSS的には・・・★★★★☆
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