2009.01.10
Raging Bull 邦題:レイジング・ブル
元世界ミドル級チャンピオンで、そのアグレッシブな試合ぶりから「レイジング・ブル」と呼ばれた実在の白人プロボクサー、ジェイク・ラモッタの半生を描いた作品。第53回アカデミー主演男優賞・編集賞受賞作品。
1941年、クリーブランド。ミドル級プロボクサーのジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロ)とセコンドを務める弟ジョーイ(ジョー・ペシ)は、黒人ボクサーとの試合で相手を叩きのめしたにもかかわらず判定負けになります。ヤケ酒を飲み、ユダヤ人の妻に八つ当たりするジェイク。
ある日彼は、近くのプールで遊ぶブロンドの美少女ビッキー(キャシー・モリアーティ)に一目惚れします。ジェイク33歳、ビッキー15歳。やがて二人は結婚します。
1943年にジェイクの因縁のライバル、当時すでに伝説的なボクサーと言われたシュガー・レイ・ロビンソンとの2度目の対戦に勝利しますが、3ヵ月後の同じ対戦では逆に判定負けを喫します。
強烈な打ち合いという試合内容のジェイクには、対戦を受ける選手もいない。また当時、裏の組織を無視してはタイトル戦もできませんでした。兄弟はやむなく、組織の大物トニー・コモ(ニコラス・コラサント)の申し入れを受け、1947年マディソン・スクエア・ガーデンでとうとう八百長試合に手を染めます。
1949年、八百長試合の代償として手に入れた世界タイトルマッチで、彼はついにミドル級チャンピオンのベルトを手に入れますが、その頃からジェイクは妻ビッキーの素行を巡って、彼女と弟ジョーイに対する猜疑心に悩まされるようになり、ついには彼らに手を上げるようになります。
何と言ってもデニーロです、ジョー・ペシで、監督はスコセッシです。とくれば、10年後の「グッド・フェローズ」の面々なのですが、まずはスコセッシの撮るファイト・シーンがすごい。
上がったこともないリング上に、見てる我々は無理やりにでも上がらされます。しかしスコセッシの真骨頂は、男のココロの映像化。これは女性の方にはわかりにくいかもしれませんが、お馬鹿な男どもにはジンジンきます。まるでジェイクのボディブローのように。
主演のデ・ニーロは、ミドル級チャンピオンの鍛え上げられた肉体と、引退後の肥満体形の両方を演じるため、撮影期間中に30kg近い体重コントロールをしたそうで、それはそれはまるで別人です。ジョー・ペシも、相変わらずいい感じ。また全編のほとんどが白黒、いやモノクロームという男の戦いと悩める魂を表す天然色で彩られています。
リングの上での数十分に命をかけるボクサーには、なによりも普段の安定した生活が大切なことは、ボクシングに限らず、現代の戦うビジネスマンにも大なり小なり共通して言えることでしょう。
それよりも何よりもジェイクの過ちは、人を信じなかったこと。結果的には妻にも弟にも偽られる事になるわけですが、傷つくことを恐れるあまり、最も信ずべき身近な人を疑うことから始めることの未来は、決して明るくはない。
信じるに足る人間であり続けたか、誠意で応えてくれたか。問題はそういうことではなく、自身が相手を信じることから始めることの大切さを、この映画は、いや屈指のファイター、ジェイク・ラモッタは私たちに教えてくれているような気がします。
ボクシング映画といえば、まず皆さんは「ロッキー」を思い浮かべるのでは?あれはあれでいい映画なのですが、あくまでフィクションのサクセスストーリー。デ・ニーロとスタローンの違い以上に、私的にはこちらが大好きです。多少の脚色はあるにせよ、ここにはリアルな苦悩するひとつの魂が存在します。
出演:ロバート・デ・ニーロ,キャシー・モリアーティ,ジョー・ペシ,フランク・ヴィンセント,ニコラス・コラサント
監督:マーティン・スコセッシ 1980年
原作:ジェイク・ラモッタ
BOSS的には・・・★★★★☆
おすすめ平均:
落ちても落ちても這い上がる
一人の信者もいない 神
ある ボクサー
"嫉妬深き怒れる牡牛"もしくは"チャンピオンベルトを巻いたコックサッカー"
空前絶後の役者馬鹿
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