2009.01.14
Scarecrow 邦題:スケアクロウ
わけあって永く家を空けていた二人の男が、ヒッチハイクや貨物列車に飛び乗ってアメリカ大陸を横断しながら、次第に芽生えてゆく友情を通してそれぞれの人生にとって大切なものを見つけてゆく、ロード・ムービー(?)。いわゆる、ニュー・シネマの代表作です。
南カリフォルニアの砂埃りの舞う田舎道。傷害事件で6年の刑を終えた大男のマックス(ジーン・ハックマン)は、刑期中に銀行に預けた金を元手に車の洗車の仕事を始めるべく、ピッツバーグを目指していました。ヒッチハイクの道すがら、道路の反対側にいた背の低い若者ライオン(アル・パチーノ)と知り合います。妻と子供を置き去りにして5年前にデンバーを旅立ち、船乗りをしていた彼は、故郷への謝罪の旅の途中でした。
意気投合した彼らは、二人で一緒に仕事を始めようと、まずデンバーに立ち寄りライオンが妻と子供に会い、その足でピッツバーグを目指すことになります。途中、とにかく喧嘩っ早いマックスをひょうきんもののライオンが面白おかしくなだめますが、ある日とうとう傷害事件を起こし、二人は刑務農場に。しかしそこで、二人は決定的な友情を確信することになります。
妻とは和解できなくても、せめて子供の顔が見たい。生まれる前に家を出て、仕送りだけはしていたもののずっと音信普通だったライオンは、子供が男か女かも知りませんでした。いよいよデンバーに着き、家を訪ねる前に妻に電話をかける彼。しかし5年前の悲しみをそのまま引きずって生きてきた妻アニーは、悲しみを怒りの言葉に変え、再婚したこと、そしてライオンの子供を目の前にして、「子供は流産した。」と嘘を告げます。
ドラマです。しかも、今風に言えば何ともはちゃめちゃなドラマで、「何でそんなことすんの?」とついつい思ってしまうのですが、人間って周りから見ると、結構そんな生き様をしてるものです。
物語は、喧嘩っ早くてすぐ頭に血が上るマックスが、ライオンの「基本は笑い」だという人生観によって周りの人たちや社会とのバランスをとり始めるというお話なのですが、最後はそのライオン自身が「笑い」だけでは明日を生きられない事態に陥ってしまう。そこでマックスの持つ、強い意志がまた必要になってきます。
まあいろいろな示唆や意見はあると思いますが、人ってそんなに器用ではないし、己の器だけでは何かにぶち当たって前に進めなくなることも一杯ある。その時に「友」、それも「人生の友」と呼べる人間がいるかどうかで、その人間の人生そのものさえも左右してしまうということを、このチビと大男の物語から感じました。男って、まあこんなもんなんです。^_^;
出演:ジーン・ハックマン,アル・パチーノ,ドロシー・トリスタン,アン・ウェッジワース,リチャード・リンチ
監督:ジェリー・シャッツバーグ 1973年
BOSS的には・・・★★★★☆
おすすめ平均:
アカデミー賞作品に食傷気味のあなたに
カラスは案山子を恐れちゃいない
男はこんなキッカケで充分なのだ
男の友情のすばらしさ
ロードムービーの最高傑作
Amazon.co.jpで見る by Azmix
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」