2009.01.12
The Big Country 邦題:大いなる西部
19世紀後半のアメリカ西部を舞台に、牧場主たちの確執と「大いなる西部」に相応しい開拓者精神を問いかける、西部劇の代表作。
1870年代のテキサス。牧場主の一人娘パット(キャロル・ベイカー)との結婚のため、東部から1人の若者がやってきます。ジェームス・マッケイ(グレゴリー・ペック)は、スーツ姿にシルクハット、コートは船乗り用のPコートという、いかにも西部には似つかわしくない青年。密かにパットに思いを寄せる牧童頭のスチーヴ・リーチ(チャールトン・ヘストン)も、当然のことながらそんな彼に敵意を抱きます。
パットの父テリル少佐は、同じ牧場主のハナシ一家と長い間反目し合っており、少佐の客であるジェームスは到着早速、彼らの乱暴な歓迎を受けます。そして、双方の牧場に必要な水源地がある農場は、パットの親友でもある女性ジュリー・マラゴン(ジーン・シモンズ)が所有していました。
事あるごとに銃をぶっ放し、派手に自らの存在や(時には銃に頼った誇張された)力をアピールすることがあたり前の西部の人たちの中にあって、自分自身に対して証明することこそ正しいことだとするジェームスは、周りからは臆病者の烙印を押され、パットにも愛想をつかされます。しかし、真に勇気あるもの、信念を貫けるもの、「大いなる西部」に相応しいものは、実は・・・。
古い映画です。50年も前の映画です。ウィリアム・ワイラー監督、かの「ローマの休日」を撮って5年後の、グレゴリー・ペックとの作品。ヒロインのジーン・シモンズが、ヘップバーン似だと思うのは私だけ?個性的な牧童頭を演じた若きチャールトン・ヘストンは、翌年ワイラー監督と「ベンハー」を世に出すことになります。
西部劇でありながら、ガンファイトに頼らないヒーローを描いたこの作品。それだけに、ワイラー監督の人物表現が冴え渡ります。この時代の映画とは思えない、細やかな心理描写。そして全編に渡りスクリーンに映し出される、果てしなく続く広大な「大いなる西部」と、それにも劣らぬ本来の人の心の広さ。
最初、グレゴリー・ペックが背広姿で幌馬車を降りたときには、一体どうなることかと心配しましたが、最終的には彼が最も西部に相応しい人間になっている。いや、彼の生き様は、時を超え時代を超え、混迷の時代こそ相応しい、ぶれない生き方、何かのため、誰かの為にその命を賭することのできる勇気を持った生き様を、是非とも見習いたいものです。
出演:グレゴリー・ペック,ジーン・シモンズ,キャロル・ベイカー,チャールトン・ヘストン,バール・アイヴス
監督:ウィリアム・ワイラー 1958年
製作:ウィリアム・ワイラー,グレゴリー・ペック
原作:ドナルド・ハミルトン
音楽:ジェローム・モロス
BOSS的には・・・★★★★☆
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