2009.01.06
The Shawshank Redemption 邦題:ショーシャンクの空に
無実の罪で投獄され、20年に及ぶ刑務所暮らしの中でも自分らしさを失うことなく希望を持ち続け、ついには脱獄に成功したある男の「感動」(!)の物語。「スタンド・バイ・ミー」を含むスティーブン・キングの連作小説の第一作。
1947年アメリカ。銀行の若き副頭取アンディ・デュフレーン(ティム・ロビンス)は、妻とその愛人を射殺した罪でショーシャンク刑務所に服役します。他の囚人とは異質で、最初は周りの囚人たちとも打ち解けることのなかった彼は、やがて刑務所内で必要な品々をこっそり用意する「調達屋」のレッド(モーガン・フリーマン)と会話を交わすようになります。
暴力や性行為の強要。生傷の耐えない数年間を過ごした彼はしかし、税務や金融の知識といった特技を生かし、次第に看守や所長、仲間たちとの信頼関係を築いてゆきます。
入所から20年近くたったある日、別の囚人から真犯人の話を聞いたアンディは仮釈放を所長に求めますが、裏で私欲を肥やしその経理処理を彼に任せていた所長は、その願いを聞くことはありませんでした。意を決した彼は、ある嵐の夜、脱獄を企てます。
原題は「ショーシャンクでの償い」という意味で、実際に手を下しはしなかったにせよ、愛する妻を激情から手にかけようとしたことに対する罪を、法ではなく自らの罪を自らに問うということが描かれていたような気がするのですが、映画のほうはもっと安直に、「無実の人間が持ち続けた希望」がテーマになっています。
公開時は「フォレスト・ガンプ」や「スピード」の陰に隠れて奮わなかったものの、レンタルビデオ化されてから口コミなどで「名作」の仲間入りを果たし、「映画ファンの踏み絵」とか「感動の○大映画の1本」と呼ばれるようになります。
確かにソフィストケートされた雰囲気のティム・ロビンスの苦悩と歓喜、ヒューマンドラマでは定評のあるモーガン・フリーマンとの細やかな心のつながりなど、ヒューマンドラマとしての定石を確実に押さえています。
しかし、個人的にはどうも言われるほど感動できない。逆に普通の人間ドラマというよりも、スティーブン・キングならではの、ウィットや影をそこここにかすかに感じるのですが、制作側は意図的にそれを隠し、あくまでも普通の感動のお涙ちょうだいドラマとして作りこんでいるような、そういう作為を感じてしまいます。
この作品が踏絵なら、私は「映画ファン」とは言えないかも知れないし、感涙しない私は「ヒトニアラズ」なのかもしれませんが・・・。女性には受けのいい作品かも!?
ミスチルの歌詞にも登場するこの作品、ちなみにアンディが刑務所で流したオペラはモーツァルトの「フィガロの結婚」でした。
出演:ティム・ロビンス,モーガン・フリーマン,ウィリアム・サドラー,ボブ・ガントン,ジェームズ・ホイットモア
監督:フランク・ダラボン 1994年
原作:スティーヴン・キング
BOSS的には・・・★★★☆☆
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