2009.02.11
Amadeus 邦題:アマデウス
クラシックと言えば、モーツァルトとベートーベン。その一雄である若くして逝った天才作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの生涯を、同時代のウィーン宮廷作曲家のアントニオ・サリエリを通して描いたイギリスの劇作家ピーター・シェーファーの戯曲「アマデウス」。本作は、ミュージカルとしてブロードウェイでヒットしたこの戯曲を、ミロシュ・フォアマンが映画化した歴史ドラマ。フィクションがどうかは、歴史をどう捉えるかによります。アカデミー賞作品賞・監督賞・主演男優賞・脚色賞・美術賞・衣裳デザイン賞・メイクアップ賞・音響賞受賞作品。
1923年冬のウィーン。1人の老人が自殺を図ります。彼の名前はアントニオ・サリエリ(F・マーリー・エイブラハム)。「許してくれ、モーツァルト。お前を殺したのは私だ!」そんなうわごとを口にする彼は、精神病院に送られます。
数週間後、回復したサリエリを訪れた神父フォーグラー(リチャード・フランク)に彼が語った物語は・・・。
美しいメロディの数々で知られる彼の生き様を見ようと思うと、そういう音楽もやや少なくちょっと寂しいかも。神童といわれた彼の、青年期以降の奇行や浪費癖と生活苦、そしていわゆる「サリエリ毒殺説」をご存知の方には、なかなか興味深い内容ではないかと思います。
物語は、モーツァルトの中に神を見たサリエリが、己と神との対峙を天才モーツァルトとの対峙に置き換え、征服すべき対象として晩年の彼と関わったことが赤裸々に描かれています。
主題としては扱われていませんが、こうしてみると父レオポルトあってのモーツァルトであったことを強く印象付けます。また世紀の悪妻の一人といわれた妻コンスタンツェも、結構常識的に正当化されています。
本当に星の数ほどの名曲を残した彼の遺作となった「レクイエム」。かつては死の使者の依頼で自らのレクイエムを書いたとさえ言われていたこの曲は、今ではヴァルゼック伯爵という田舎の領主が、亡き妻の為に依頼したというのが通説となっていますが、この物語ではさもサリエリ自身がモーツァルトを死に至らしめる為に依頼したような構成になっています。(露骨には表現されてはいませんが・・・)
音楽担当は、イギリスの指揮者ネヴィル・マリナー。実際にモーツァルトがオペラを初演したとされる劇場でのオペラのシーンもきらびやかでしっかりと作られています。
この物語により、彼の音楽をより身近に捉えることができるか、はたまたかの天才に失望するか。それは見てのお楽しみということで。
アカデミー映画などと思わず、数奇な運命をたどった大作曲家の物語として、気軽にお楽しみください。
出演:F・マーリー・エイブラハム,トム・ハルス,エリザベス・ベリッジ,サイモン・カロウ,ロイ・ドトリス
監督:ミロシュ・フォアマン 1984年
原作・脚本:ピーター・シェーファー
音楽:ネヴィル・マリナー
BOSS的には・・・★★★☆☆
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