2009.02.01
Easy Rider 邦題:イージー・ライダー
黒人の民権運動や東西冷戦下の覇権による帝国主義に傾くアメリカにおいて、当時の若者の多くが傾倒したヒッピーやウッドストックが象徴するフリー・ムーブメント。東部からから南部へ、バイクを走らせる2人の若者の見た、真のアメリカの姿と、自由の意味を問うロード・ムービーにしてニューシネマの代表作。
マリファナ(大麻)の密輸で大金を手にした二人の若者、キャプテン・アメリカ(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)は大型バイクでニューヨークから南部の町を目指します。それは、信念とか夢とかいった大そうなものではなく、若者らしい気ままな旅のはずでした。彼ら暮らす国は、「自由の国アメリカ」なのですから。
途中、ヒッピーの若者ジーザス(アントニオ・メンドサ)を同乗させ、彼の案内でヒッピーたちが「自由に」暮らす村に立ち寄りますが、彼らの自由とは名ばかりで意思も理由もなく、むしろ二人の行動そのもののほうが自由であることに気づきます。
その後、ラスベガスでつまらないことで留置場に拘留された二人は、そこで泥酔の若き弁護士ジョージ(ジャック・ニコルソン)と意気投合、3人で南への旅を続けることになるのですが・・・。
当時俳優として売り出し中のデニス・ホッパーとピーター・フォンダがバイクに乗ったカウボーイの映画をというアイデアを出し合い、資金を募って低予算で作成されたこの映画、何といっても新進のカメラマン、ラズロ・コヴァックスのカメラワーク。60年代とはとても思えないのは、ひとえにドキュメント・タッチの映像の積み重ねのなせる業です。
そして二人のキャラ、特に若きピーター・フォンダのどこか陰のある不安げなクールさが最高!なんか似てるんですよね、あのちょっとはにかんだ感じ・・・。誰にとは、あえて言いませんが・・・。
そして若かりしジャック・ニコルソン、めっぽう男前ですし、この頃からちょっとした表情にもニコルソン節が出てます。うまい役者さんです。
音楽も、ザ・バンドにステッペン・ウルフ、ジミ・ヘンなど60年代を知る方にはたまらないメドレーが続きます。当時小学生だった私、近所のバイク屋さんにはチョッパーやロボットハンドルのバイクが溢れ、それに憧れた私がバイクに乗れる頃には道交法の改正でこれらが禁止になったり・・・。
それにしても、40年も前の映画なのに、アメリカと言う国の本質って、実は何も変わっていないのかもしれない。いや、結局科学や医学の進歩ほどには人類は進歩するものではない。こういう視点で見ないと評価もできない、いやだからこそ評価したい作品なのです。
物語の途中でジャック・ニコルソンがデニス・ホッパーに語ります。
「アメリカ人は、自由を証明するためなら殺人だって平気さ。個人の自由についてはいくらでも喋れるけれど、本当に自由な奴を目にするのは恐いんだ・・・」
皆さんは、どう思われますか?
出演:ピーター・フォンダ,デニス・ホッパー,ジャック・ニコルソン,アントニア・メンドザ
監督:デニス・ホッパー 1969年
BOSS的には・・・★★★★☆
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