2009.02.15
Fight Club 邦題:ファイト・クラブ
物欲や消費にだけ満足感を得るようになった現代社会に対し、ヒトがもともと持っているはずの闘争本能に自己の価値観を見出そうともがく若者を描いたドラマ。チャック・ポーラニックの同名小説の映画化です。
ジャック(エドワード・ノートン)は、とある大手自動車メーカーのリコール処理を担当する独身のサラリーマン。選び抜いた北欧家具に囲まれて、リッチな高層マンションに一人暮らし。しかしここ数ヶ月、彼は不眠症に悩んでいました。
出張帰りの飛行機で偶然隣り合わせたタイラー(ブラッド・ピット)と知り合ったジャック。帰宅してみると自宅マンションはガス爆発事故でめちゃめちゃに。仕方なくタイラーに連絡を取り、一夜の宿を頼むのですが・・・。
いきなりものすごい暴力シーンから始まりますので、一体これはどういう映画なのかと思ってしまいますが、後半にジャックがとある事実を知ってからは、畳み掛けるように物語が展開し、最後は無事イントロのシーンに戻ってきます。
「ファイト・クラブ」というのはスポーツ・クラブなんかではなく、まあ言えば「喧嘩同好会」。ジャックに啓発され、二人でこのクラブを始めるわけですが、そのことにより現代人なら、とくに消費大国アメリカの国民ならあたり前の、過剰な消費と物欲に堕ちてしまった男たちが、生まれ持った一人の「オトコ」としての喧嘩や暴力という、現代人がなんならこの世から抹殺しようとしている本能、いわゆる原始的な「闘争本能」を呼び覚まし、あるべき自分を探し、あるいは自己の尊厳を見出そうとします。
あまりにも過激な暴力シーンが続きますので、それだけで特に女性の方は引いてしまうでしょうし、いくらブラビ・ファンだといっても、なかなか厳しいかもしれません。しかしこの映画、実は死者は一人だけしか出ないし、それも警官に銃で撃たれたものなのです。
まあ、そういう教条的なことだけを目指しているわけではなく、あくまでもエンターテインメントな物語なのですが、取りようによってはなかなか深いこの映画、公開当時はずいぶんと批判にさらされたようですが、最近は結構それなりの評価を得ているようです。
アメリカ発の世界恐慌の原因のひとつでもあるアメリカの過剰消費。それを否定したあるべき姿が、「ファイト・クラブ」だとはオバマさんもとても言えないと思いますが、根源的な「人」としてのあるべき姿に立ち戻るための試行錯誤というのは、実は今とても必要なことのような気がします。
エンディングでサブミナルに挿入された画像は、ちょっとここでは言えません。^_^;
個人的にはヒロインのヘレナ・ボナム=カーターがちょっとどうなんて感じで、星をひとつ落としてしまいました。それにしてもブラビ、地でゆく名演です!
出演:エドワード・ノートン,ブラッド・ピット,ヘレナ・ボナム=カーター,ミート・ローフ,ザック・レニエ
監督:デイヴィッド・フィンチャー 1999年
BOSS的には・・・★★★★☆
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