2009.02.12
Gladiator 邦題:グラディエーター
ローマ帝国時代に、帝国の将軍から興行の剣闘士(グラディエーター)となったひとりの男の半生を描いた史劇にして、その後の史劇スペクタル群の先駆けとなった作品。アカデミー賞作品賞受賞。
西暦180年。ローマ帝国がその勢力を最大に伸ばしていた時代。北方ゲルマニアの地に、時の皇帝マルクス・アウレリウス(リチャード・ハリス)とともに遠征していた将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)は、戦いに勝利を収め皇帝から世継ぎの要請を受けます。
これを知った野心家の皇帝の息子コモドゥス(ホアキン・フェニックス)は、父を自らの手で殺害したうえ皇帝を宣言し、マキシマスの処刑を命じます。処刑の手を逃れ、故郷へと向かったマキシマス。しかし最愛の妻と一人息子は、新皇帝の放った兵によってすでに惨殺され、絶望の縁に倒れた彼は、奴隷として売られる身となってしまいます。
基本的には、妻子を殺された主人公と、父を殺め権力の座を手に入れた皇帝との、勧善懲悪の物語ですが、全編を通して繰り広げられる迫力満点の戦闘シーンが息をもつかせず折り重なってゆきます。
細かい一喜一憂も織り込まれ、見るものを飽きさせないように作りこまれていますが、なによりも脚本のよさに感心します。これって結構大事で、アクションや大スペクタルになると、この辺がどうしてもおざなりになる作品が多く、見てるほうとしては「こんなもんでどうだ」的に馬鹿にされたような気がするものです。
この作品の脚本に関しては結構紆余曲折があったそうで、結果的にはそのプロットだけに頼ることなく、マキシマスのただの遺恨をはらすだけに終わらないヒーロー化に成功していると思います。
ハリウッド的ハッピーエンドに終わらないところが、ミョーに宇宙戦艦ヤマト的で、これも本作の作品性を高めていると思います。民衆の流行り病のような総意が国を動かしているさまは、混迷を極める現代のあちこちの国政のさまを見るようです。
監督は、「ブラックホーク・ダウン」のリドリー・スコット。かの作品同様、目線といいますか、カメラ位置がいいです。
この作品の成功によって、その後雨後の竹の子のように史劇スペクタルが登場することになるわけですが、きちんと個人の心情にスポットをあてた本作を越えたものはまだないように思います。
人は必ず死を迎える。問題なのはそれがいつかではなく、どのように迎えるか・・・。そういう人の深い部分をきちんと踏まえた、スペクタルと言うよりはヒューマンドラマとしてもご覧いただけるのでは?ただし、戦闘シーンはお子様にはちょっと厳しいかもしれません。
出演:ラッセル・クロウ,ホアキン・フェニックス,コニー・ニールセン,オリヴァー・リード,リチャード・ハリス
監督:リドリー・スコット
原案:デイヴィッド・フランゾーニ
脚本:デイヴィッド・フランゾーニ,ジョン・ローガン,ウィリアム・ニコルソン
BOSS的には・・・★★★★☆
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