2009.02.01
LA MOME/THE PASSIONATE LIFE OF EDITH PIAF/LA VIE EN ROSE 邦題:エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜
ジャンルごとにディーバ、歌姫をあげると、クラシックではマリア・カラス、JAZZならビリー・ホリディ、そしてシャンソンではエディット・ピアフでしょう。それぞれ同時代に成功を手にした彼女たちは、同様に貧しい生い立ちと苦しい人生を歩んだことも同じです。これは、そんな伝説の歌姫の1人、エディット・ピアフの生涯を描いた伝記作品。
カフェで歌う母が去り、売春宿を営む祖母の下で育てられた彼女。娼婦たちからほのかな愛情を注がれていましたが、しがない大道芸人の父に連れ戻され街頭に立つようになります。
やがて高級ナイトクラブのオーナーに見出され、フランス音楽界にデビューしますが、暗黒街との交友関係がスキャンダルとして報じられ、場末の酒場で罵声を浴びせながらその日暮らしをするようになります。
そんな彼女にも運命の分かれ道がやってきます。本格的な歌手としての厳しい技術指導に耐え抜き、ついに彼女はフランスを席捲するとともに、アメリカでも公演を行うようになります。
まあ、波乱万丈と言いますか、小説ばりに数奇な運命に翻弄された彼女のサクセスストーリーですが、この映画ではイブ・モンタンやらナチやら2度の結婚やら出産やら、いろいろかなり大胆にカットされ、「愛の賛歌」がひたすら飛行機事故で突然彼女の前から去ったボクサー、マルセル・セルダンに重ねて語られます。
ということで、恋多き女性と言う印象を和らげ、マルセルとの死別を軸に語られる後半は、特に涙腺を刺激して止みません。
それにしても、主役のエディットを演じたマリオン・コティヤール、すごいです。20歳から死の床の47歳まで、特に彼女の独特の表情や仕草、姿勢とかを完璧に演じきっています。すごいです。アカデミーものでしょう、これは!素顔がまた、めちゃめちゃチャーミングなんですよ!
気まぐれで品がない、わがままでゆうずうがきかない。そんなまるで「いじわるばあさん」みたいなエディットが、実は歌うことが天命であり、歌うことが生きることであると言う1人の「か弱い女性」である点では、他のディーバと同じなのですが、その歌に等しく、愛らしく下町の路地に咲いたアダ花であったことを、この映画は伝えてくれます。
かなり時代が前後して織り込まれるシーンも無理がなく、返って彼女の本質を赤裸々に伝えることに成功しています。オリヴィエ・ダアン、やり手です!もちろんピアフの熱唱の数々、「愛の賛歌」や「パダム・パダム」、ディートリッヒが持ち歌にもしていた「ばら色の人生」などなど、数多くのシャンソンが流れます。
死の床の彼女は、自分の意思が自由にならないことを訴えますが、その時意識は幼少時代を彷徨います。結局、なんであれかんであれ、人は愛される為に生まれ、愛する為に生き、愛されて死んでゆくものなのでしょうねぇ〜。って、こんなコと言うから、「似非ロマンチスト」なんて言われるんですよね!
あと、しつこいようですがやはり邦題は、「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」ではなく、原題に忠実に「エディット・ピアフ〜ばら色の人生〜」が適当かと。薔薇は決して、美しいだけではないのですから・・・。
出演:マリオン・コティヤール,シルヴィー・テステュー,パスカル・グレゴリー
監督:オリヴィエ・ダアン 2007年
BOSS的には・・・★★★★☆
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