2009.02.03
Once Upon A Time in America 邦題:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
禁酒法時代のニューヨークを舞台に、ユダヤ人ゲットーで育った若者たちのアウトローとしての生き様と友情、愛と別れを描いた、マカロニ・ウェスタン生みの親、セルジオ・レオーネ渾身にして遺作の代表作。アメリカ・イタリア合作。
物語は、貧しいローワー・イースト・サイド、映画「アイ、ロボット」でもモチーフに使われたウィリアムバーグ橋が除くブルックリンの下町で始まります。
いきなり殺人やらむごたらしいリンチやら。これでほぼ99%の女性は引いたでしょう。男性でも何割かの方は、気分を悪くして化粧室に駆け込んだのでは?いや、決してグロい映画ではありません。それは「悲しい人間」が背負った重荷に耐えかねて漏らす悲鳴なのです。
一言で言ってしまえば「ギャングの反省物語」なのですが、実は実は、男と言う悲しいサガ(?)を背負って生まれたものの成長と挫折、その悲哀を、アメリカそのものに見立てて描いた大作であり、登場人物たちは実は、そのアルバムの中のそれぞれ一枚の写真にしか過ぎないのです。
そう思うと、いろんなものが見えてくる。追いはぎで小銭を稼いでるまだ小学生くらいの主人公たちが、5セントのクリームケーキ1個でSEXさせてくれる女の子のところをケーキを持っていそいそと訪れる。でも、彼女を待ってる間に童貞の少年は、ケーキの甘い誘惑にまけ、彼女を諦めケーキをむさぼり始める。こんな映画は、正直、見たことがありません。すごいことですよ、これは。
また、主人公ヌードルス(ロバート・デ・ニーロ)が、なんとなくつまはじき状態のビミョーな空気のシーン。彼がコーヒーカップをスプーンでかき混ぜる音が1分ほど続きます。それは永遠に続くのではないかと思うほど、見ているものを不安に陥れる。これなんかも、ありえないです。
基本はギャング物ですし、レオーネお得意のバイオレンス・シーンも盛りだくさんです。そして驚くべきはそれと対照的に現れる、この世とは思えないような美しいシーン。
特にヌードルスがデボラ(エリザベス・マクガヴァン)の為に貸しきった高級フレンチ・レストランのシーン。実はここはイタリアロケによるヴェニスは「オテル・ドゥ・バン」。マーラーのアダージェットで有名なヴィスコンティの「ベニスに死す」にも登場します。まさに「天上の地」です。
また、ヌードルスとモー(ラリー・ラップ)との妹デボラをも巻き込んだ自己犠牲の上に成り立った深い友情、そして誰よりも、マックス(ジェームズ・ウッズ)とのまさに「一期一会」の友情とそれ以前の個人としての心の危うさ脆さ。
大作映画らしい、大上段からの構成と思わせて、実は我々となんら変わらない、矮小な一匹の生き物としての「男」が、積み重なっては散り散りに砕け散ってゆきます。
この映画、全編で3時間半あります。1923年から1968年の約50年がわずか3時間ですから、まあ大したことはないのですが(爆)、若く雄々しい彼らも老いた彼らも出てくる。ここですごいのがはやりデニーロ。本当に50年を前後して撮影したのでは?と目を疑いなくなるその映像は、もちろんメイクだけに頼っているわけではありません。
映像はふとしたことをきっかけに時代を前後します。その間合いや順序も、もうこれしかないだろうと言うシロモノ。逆に時代を追ってやられたら、社会か倫理の教科書になってしまったかも!?
音楽は、レオーネとくればもちろんエンリオ・モリコーネ!主題歌「ひなげし」も、地味な曲ながら、この映画の庭に咲く一厘の花となっています。
一輪の花と言えば、ヌードルスの憧れの女性、デボラ演じるエリザベス・マクガヴァンが、これまたハリウッド的ではない、どちらかといえばひなげし的なぽっちゃり型の女優さん。こういうキャスティングの妙も、名作には実に大切なことなのです。
いや、女性の方にはお勧めしない方がいいかもしれませんねぇ。そうでなくても最近のキャリアをお持ちの女性の方々には、「男」という種族の評判はめっぽう悪いですし・・・。
でも、男性の方は是非是非ご覧下さい。いやー日光とこの映画を観ずして、「結構」と言うなかれ!ですぞ!
アカデミーでもカンヌでもない、やたらと長いセルフ・オマージュのようなこの映画、BOSS大好きであります!
出演:ロバート・デ・ニーロ,ジェームズ・ウッズ,エリザベス・マクガヴァン,トリート・ウィリアムズ,チューズデイ・ウェルド,バート・ヤング,ジョー・ペシ,ウィリアム・フォーサイス
監督:セルジオ・レオーネ 1984年
製作総指揮:クラウディオ・マンシーニ
音楽:エンニオ・モリコーネ
美術:カルロ・シーミ
衣装:ガブリエラ・ペスクッチ
BOSS的には・・・★★★★★
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