2009.02.09
Silk 邦題:シルク
18世紀のフランスを舞台に、シルクを生む蚕を求めてはるばるフランスから日本へとやってきた貿易商の若者の愛と心の葛藤(?)を描いたラブロマン(?)。原作は、「海の上のピアニスト」のアレッサンドロ・バリッコ。カナダ・フランス・イタリア・イギリス・日本合作映画。
日本では幕末の1860年代。蚕の疫病が蔓延したため、軍人だった若者エルヴェ(マイケル・ピット)は、若妻エレーヌ(キーラ・ナイトレイ)をフランスに残し、品質のよい蚕の卵を求めて、遠路はるばる江戸時代の日本に密入国します。
養蚕業を営む原(役所広司)から無事、上質の卵を手に入れたエルヴェは帰路に着きますが、原の連れているシルクのような肌を持つ不思議な少女(芦名星)のことが頭から離れない。
帰国した彼はしかし、そんなまばゆい残像を振り払うかのように、蚕で手にした大金でエレーヌの為に土地と家を手に入れ、百合の花の咲き乱れる庭を造ります。彼の心の奥底に、かすかに消え残る絹の東洋人の姿を垣間見た彼女は・・・。
「パイレーツ・シリーズ」の胴細美人キーラ・ナイトレイが出てるので見てみました。エルヴィと事業をともに行うバルダビューに、スパイダーマン2のお騒がせ博士アルフレッド・モリナが出てますが、演技を論じるほどの出番はありません。
役所広司も、彼でなければならないというほどの役回りではない。それにしても英語と比べると、日本語って結構早口なんですよね、知らなかった!
美少女の芦名星も、予告レベルしか登場しませんから、どのくらいシルクっぽいかは不明。フランスから日本への長旅をうまく処理して、その分人物描写にあてた苦労はわかりますが、原作に忠実すぎたのか、散文的な表現にとどまってしまいました。返って、「この苦労の積み重なった雪の山脈の向こう側にかのシルクの少女が住んでいる」的なほうが、わかりやすかったかも!まあ監督自身は、エルヴィとエレーヌの心もようを描ききりたかったのでしょうが・・・。
絵的にはなかなか美しいシーンが折り重なっていて、坂本龍一の音楽とともに結構癒されたりするのですが、逆にそれが全体の求心力と言うか、焦点をぼかしてしまう結果になってしまったような気もします。
とんでも違和感のある外国映画の中の日本とは違い、思ったよりも忠実に再現され、むしろ江戸時代というよりは現代の里山に近い映像でしたが、所詮それはストーリーの中で語るべきものではなく、まあ、タジキスタンでもウズベキスタンでもよかったわけではあります。
集中力の弱い原作を、職人肌のカメラマンが撮ったらこうなりますの美しい見本ではありますが、BGFとして軽く見るには、それなりによろしいのではないかと。
出演:マイケル・ピット,キーラ・ナイトレイ,役所広司,芦名星,中谷美紀,アルフレッド・モリナ
監督:フランソワ・ジラール 2007年
音楽:坂本龍一
BOSS的には・・・★★☆☆☆
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