BOSS's Column

「麗しのサブリナ」でもご紹介した、ハリウッドの巨匠にして元祖ラブコメの神様的監督ビリー・ワイルダーが「お熱いのがお好き」に引き続きジャック・レモンを起用して撮られた、大都市ニューヨークで働く男女の恋模様を描いたラブ・コメディ。アカデミー賞作品賞・監督賞・オリジナル脚本賞・美術監督装置賞・編集賞受賞。

ニューヨークにある大手保険会社の平社員バクスター（ジャック・レモン）は、出世していずれは幹部にという野望を抱いて、多忙な毎日を過ごしています。実は彼には秘策がありました。昇進に影響力のある4人の上司たちに、自分のアパートの鍵を貸すこと。上司たちは彼の部屋を使って、愛人たちとの甘い時間を過ごすと言う次第でした。

ある日、人事部長のシェルドレイク(フレッド・マクマレイ)に呼び出された彼は、すわ昇進かと思いきや、彼も鍵を貸して欲しいとのこと。これも出世のためと、彼に鍵を渡します。

独身のバクスターには心憎からぬ女性がいました。エレベーターガールのフラン(シャーリー・マクレーン)。そして、クリスマスイブの夜、社内でのパーティー中に人事部長の相手がこのフランだと知り、やむなく彼女を諦めます。

一人寂しく酒場で過ごすバクスター。酔った勢いで仲良くなった既婚の女性を連れてアパートに戻ってみると・・・。

そもそもシリアスな作品を撮っていたワイルダーらしく、喜劇の中に人々の心の奥底の思いや、都会で暮らす男女の寂しさ、それを埋め合わせるかのような恋模様を、コメディタッチの中にきちんと埋め込んでいます。このあたりが、昨今の名ばかりラブコメとは根本的に異なる、巨匠の巨匠たる所以。

面白おかしく振舞っているバクスターの心の奥底までしっかりとひっぺがします。ふわーっとした印象のシャーリー・マクレーン、彼女は実は「草原の輝き」でデビューしたウォーレン・ベイティのお姉さんなんですね。ばたばたした演技のジャック・レモンとは、トム・ハンクス＆メグ・ライアンとはまた一味違った名コンビです。

原題は「The Apartment」、直訳すれば「アパート」といいますか「集合住宅」といいますか。それに「アパートの鍵貸します」とつけた方、あんたは偉い！こちらは邦題の方がずっと的を得てる気がします。

映画のラスト、告白する、いや最近ではコクると言うのでしょうか、そんな彼の言葉を制止してカードゲームを続けるシーン。いいですねぇ〜。この時代の映画って、ほっとしますよね！もちろん、ハンカチをご用意ください。

出演：ジャック・レモン,シャーリー・マクレーン,フレッド・マクマレイ,レイ・ウォルストン,デイヴィッド・ルイス

監督：ビリー・ワイルダー　1960年

BOSS的には・・・★★★★★

アパートの鍵貸します [DVD]

おすすめ平均：
Intriguing twists
まさしく名作
未見の方は是が非でも見てください。
ジャック・レモンの涙さそう無垢
何度見ても楽しめるおしゃれなストーリィ

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