2009.03.09
The Matrix 邦題:マトリックス
AI(人工知能)によって自我を持ってしまったコンピュータと人類との戦いを、日常生活レベルの映像の中で表現したSFアクション。皆さんもすでに、ご覧になりましたよね!アカデミー賞視覚効果賞・編集賞・音響賞・音響編集賞受賞作品。
近未来。ソフトウェア会社に勤務するプログラマーのトーマス(キアヌ・リーブス)は、一方でネオと呼ばれる天才ハッカーでした。ある日、同じく天才ハッカーとして知られるトリニティ(キャリーアン・モス)が突然彼の前に現れ、尊敬しているハッカーのモーフィアス(ローレンス・フィシュバーン)に会うことになります。
モーフィアスは彼に、自分たちが今生きているこの世界は、実はコンピューターが作り出した仮想世界であり、実際はコンピュータを稼動させる為に人類は隔離されて生かされているだけだと語ります。
にわかに信じがたいモーフィアスの語る真実。しかしトーマスは、自らが絶滅寸前に追い込まれた人類の救世主であるという自覚に目覚め、ネオと名乗ってコンピュータが放った絶対的なパワーを持つエージェント・スミスというプログラムに対し、敢然と立ち向かってゆきます。
本格的なワイヤーフレームやVFXなどを多用した斬新な映像から、映画界に革命を起こした作品。しかしその後、雨後の竹の子のように、ワイヤーアクションだけに頼ったアクション映画を量産した罪もあります(笑)。
この映画が広く観客に受け入れられた要因は、前述の映像の面白さだけではなく、コンピュータに詳しい人々を納得させられる構成と、信仰と哲学の対比といった形而上の問題にまで踏み込んでいる点ではないでしょうか。
実際、監督のウォシャウスキー兄弟は、ジャン・ボードリヤールの哲学を基調にしたと公言しており、またもうひとつ、我が国が誇るアニメ作品「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の影響も見逃せません。
「GHOST IN THE SHELL」の詳しいお話は別掲に譲るとして、宗教や哲学、人と機械、記憶と記録などの違いを哲学を通して明確に対することで、彼らはこの作品を単なる人類対コンピュータの単純な対戦映画の枠をこえさせました。
「GHOST IN THE SHELL」からの引用は、先述の構成そのものだけでなく、後頭部のプラグやネオ再生のシーンなど多岐に渡ります。「GHOST IN THE SHELL」をまだご覧になってない方は、是非本作に先立ってご覧下さい。こちらのほうは4年ほど前に公開されていますので。
「Matrix」とはラテン語の「Mater」、つまりMother(母)から派生した言葉です。人類を閉じ込め、その生命エネルギーを使って生きる(?)コンピュータは、いわば裏返しの「マトリックス」。そしてコンピュータにはない人間の力とは、正しいと思えることを確立の問題を超えて、あるいは不可能だと思えることにも挑戦する意思、そして愛。
しかし、その「愛」は「憎悪」を生み、それは人類自らの命取りにもなりかねない。ややこしいです。
と言うようなことを伝えなくても、十分に考えさせながら楽しめる思考型エンターテインメント作品です。しかし続編は、どちらかと言えば思考よりも視覚に振ってしまって・・・。まあそれはそれで楽しいのですが・・・
ちなみに、ネオとモーフィアスの格闘シーンは、明らかに「燃えよドラゴン」ですよね!それと、「白ウサギを追う」というのがひとつのキーワードなんですが、これって「ジュラシック・パーク」のメインプログラムの解除コードでもありました。何か意味があるのかなぁ〜。どなたかご存知ですか?
出演:キアヌ・リーヴス,ローレンス・フィッシュバーン,キャリー・アン・モス,ヒューゴ・ウィーヴィング,グロリア・フォスター
監督:アンディ・ウォシャウスキー,ラリー・ウォシャウスキー 1999年
BOSS的には・・・★★★★☆
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