2009.04.24
Fist of Fury 邦題:ドラゴン怒りの鉄拳
「アチョー!」の武道家ブルース・リーのドラゴン・シリーズ第2作目。1900年初頭の上海を舞台に、横暴を極める日本の帝国主義的植民地政策に対して、敢然と立ち向かう一人の武道家青年を描いたアクション映画。前作「ドラゴン危機一髪」と同様、ハリウッド資本の入ってない純香港映画です。
1908年、清朝末期。日清・日露戦争で勝利した大日本帝国が、横暴な植民地支配をしている上海で、中国武術の大家で精武館の館長が謎の死を遂げます。愛弟子のチェン(ブルース・リー)は、悲しみに打ちひしがれながらも、師匠の突然の死に疑問を抱きます。
館長の死を境に始まった、日本人柔道場からの嫌がらせ。怒りに任せてチェンは、単身柔道場に乗り込んで大暴れしますが、彼の留守に今度は日本人柔道家たちが精武館に押しかけ、乱闘の末、3日以内にチェンを引き渡さなければ、全員逮捕させると言い残して引き上げてゆきます。
ひとまず翌朝早くに、列車で上海を去るよう進められ、最後の夜を師範の慰霊の前で過ごすチャン。偶然そこで彼は、師匠暗殺の謎を知ります。手引きをしたのが日本柔道場の会長(橋本力)と知り、柔道場に乗り込みますが、そこには凄腕のロシア人武道家が立ちはだかり・・・。
私たちが最初にブルース・リーを見たのは1973年の「燃えよドラゴン」でした。この映画は、ハリウッドとの合作ということで、本作よりも先に日本で上映されましたが、この映画は実は「燃えよ」よりも2年前に撮影されていました。
で、彼の映画史の中では初の「ヌンチャク」と「アチョー!」の怪鳥音登場作品です。そう、「燃えよ」で私たちはいきなり目に耳にしましたが・・・。
まあ、日本人は本当に横暴だ!と自国民として怒ってもしょうがないですが、チェンの勝手な行動はあきらかに暴力の連鎖しか生みませんねぇ〜。まるでどっかの引退した大統領みたい。おまけに気が短いというか、すぐ頭に血が上るというか・・・。
チェンの性格が瞬間湯沸かし器だから、シーンの切替もばっさり!ばっさり!いや、これはあきらかにカットのつなぎの粗雑さ。香港とはえい中国、なんたってB型人間の巣窟ですから・・・。
いやまあ、そんな細かい出来だとか、展開の必然性だとか、それぞれの役者の演技力とか表情とか、これはそういう重箱の隅つつき的視点、映画としての出来不出来を云々する作品ではなく、すべてはブルース・リーの立ち回りを堪能するためのセット、背景にしか過ぎません。
最初に柔道場に乗り込んだシーン、そしてラスト近くの決闘シーン。とにかくかっこいいといいますか、すごいといいますか・・・。えっ?まるでマイクで拾ったような大音量の効果音!?いいんです、とにかく彼の演舞をひたすら堪能するためのB型的過剰サービスですから。
で、80年代の彼亡き後の私たち男どものアイドルが、共演のノラ・ミャオ。漢字では「野良猫」、ではありません。今頃になってあらためて見てみると、まあまあそれなりといいますか、あのころのビビッとした印象は正直ありませんが・・・。
そして、大魔神で大活躍した橋本力。目はやはり大魔神です(爆)。ところで柔道家たちの雰囲気がなんかおかしいと思ったら、彼ら全員、袴が前後ろ逆に履いてまんがな!まあ、「コノヤロー!ニホンジン」映画ですので、その程度でいいのですが・・・。
ちなみにブルースにぶっ飛ばされた橋本が障子を突き破るシーンのスタントは、なんと若きジャッキー・チェンです。もちろん、顔は見えませんが、頭はあきらかにあのデカ頭!
先にも書きましたが、とにかく本作はドラマなどと言うものではなく、ひたすらブルース・リーのパフォーマンスを堪能する作品。もちろんマトリックスのようなVFXでもワイヤー・アクションでもないし、007みたいな早送りでもありません。偉大なるかな、ブルース・リー!の所以です。
予算の関係なのか、単なる目立ちたがり屋なのか、監督のロー・ウェイも警察署長役で出演してます。
出演:ブルース・リー,ノラ・ミャオ,ティエン・フォン,ジェームズ・ティエン,トニー・リュウ,ユニコーン・チャン,マリア・イー,橋本力,勝村淳,ボブ・ベイカー
監督:ロー・ウェイ 1971年
BOSS的には・・・★★★☆☆
おすすめ平均:
偉大な男だった
アクション映画とはなんなのか?
ジェット・リーのファンとしては......
彼の存在感が映える映画だ
ブルース・リーの初ヌンチャク
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