BOSS's Column

AI（人工知能）が支配する仮想現実空間で生かされている人類。現実世界として最後に残った都市ザイオンとその住人を守るため、強力なAIとそれが操るエージェント・スミスやマシンに対して、壮絶な戦いを挑んだSFアクション「マトリックス」の続編にして3部作の2作目。前回の大成功で、前作をはるかに上回る予算が投入され、映像も展開も過激にヒートアップしました。

元天才ハッカーのネオ（キアヌ・リーヴス）、反乱軍のリーダーであるモーフィアス（ローレンス・フィシュバーン）、そしてネオと深く愛し合うようになったトリニティ（キャリー=アン・モス）らは、絶滅の危機に瀕した都市ザイオンを守るべく、敵との総力戦のため仮想空間へと乗り込みます。

やがてネオは、システムの設計者に合い、救世主であるはずの自らさえもプログラミングされていることを知らされます。そして人類か愛かというデジタルの選択を迫られた彼は・・・。

基本的には前回同様、強くてもあくまでもプログラム処理でしかない敵に対し、愛や哲学、あるいは人間としての強さ弱さなども含めた、「人間力」を持つネオたちの挑む壮絶な戦いの一大絵巻です。

主に戦いのシーンに多用されたワイヤーアクションにSFX、特に大勢のエージェントとネオが戦うシーンや、今は使われなくなった軍の飛行場に実際に構築され撮影された高速道路での逃走シーンは圧巻。

今回パワーアップしたのはアクションだけではありません。主人公たちの愛し合うシーンが登場するのも、閉塞感に溢れた前作とは異なる雰囲気を醸し出していますが、個人的には「イタリアの宝石」、かの「マレーナ」に登場したモニカ・ベルッチの怪演。これだけで、本作がモワーッと香しくなります。

あとはトリニティのドカティの操縦シーンですか・・・。かっこいいといいますか、なんといいますか。本線から側道にシュワッとターンするワンシーンだけでも、わくわくするのは完全なバイク・オタクですよね。冒頭のトリニティの浮遊シーンは、あきらかに「攻殻」してます。（笑）

根底には前作同様、哲学的な文脈が流れており、また本作では宗教の起源の問題にも振れたため、エジプトでは上映禁止になったとか。ネオもトリニティもザイオンの運命も、同時進行で撮影された3作目「マトリックス・レボリューション」へとなだれ込みます。本作からではなく、１作目からどうぞ！

出演：キアヌ・リーヴス,ローレンス・フィッシュバーン,キャリー・アン・モス,ヒューゴ・ウィーヴィング,ジャダ・ピンケット・スミス

監督：ラリー・ウォシャウスキー,アンディ・ウォシャウスキー　2003年

BOSS的には・・・★★★★☆

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