2009.05.17
Bronco Billy 邦題:ブロンコ・ビリー
古き良き西部時代の曲芸をしながらアメリカ中を旅して回る旅芸人団を率いるブロンコ・ビリーの物語。「荒野の用心棒」で映画デビュー、「ダーティ・ハリー」シリーズで不動の地位を獲得したクリント・イーストウッドが主演・監督した、ちょっと心温まる作品です。
「ワイルド・ウェスト・ショー」、西部開拓時代のカウボーイやインディアンの曲芸などを売り物にアメリカ中を旅して回る彼らを率いるのは、ブロンコ・ビリー(クリント・イーストウッド)。彼はかつて、靴のセールスマンでした。
その仲間は、司会役のドック(スキャットマン・クロザース)、インディアン混血のロレーン(シェラ・ペシャー)と彼女の夫でインディアン・ダンスやガラガラ蛇の曲芸をするチーフ・ビック・イーグル(ダン・バディス)、投げ縄の名人レオナード(サム・ボトムス)、左きき2丁拳銃のル・バウ(ビル・マッキニー)、それに愛馬バスター。
慈善公演もいとわない彼らは、経済的にはとても苦しかったけれど、観客とくに子供たちの喜ぶ顔見たさに旅を続けています。そしてひょんなことでリリー(ソンドラ・ロック)を連れて旅回りをすることになりますが、観客の投げた花火が原因で、大事なテントを火事で失ってしまい、仲間たちは彼女を「疫病神」扱いします。
テントがなければ出し物は出来ない。思いあぐねたビリーは、仲間たちと時代はずれの列車強盗を企てるのですが・・・。
決して、西部劇ではありません。さまざまな仕事をし、また現代の生き方に息詰まって犯罪に手を染めた者たち、愛情に触れずに育った者たちをたばね、何かを演じることで自分を輝かせる。いや、決して大儀ではなく、生き生きと毎日を生きることを肌で感じる生き方を示唆する、ささやかな小品でしょう。
クリント・イーストウッドは「ダーティ・ハリー」1作目よりも前の1971年の「恐怖のメロディ」から主役兼監督をしています。が、彼の監督作品はみな、決して受賞狙いの大作ではなく、野に咲く花のような、ささやかな小品たちです。
この作品の主人公も、ビリーではなくむしろリリーでしょう。父の莫大な遺産を引き継ぎ、何不自由のない生活だけれども、わがままで人の気持ちを理解しようとしない彼女が、仲間の一人として迎え入れられることで、生き生きと生きる喜びを見つけてゆく。ある意味、「ミリオンダラー・ベイビー」と同じ主題ということでしょうか?
一部のアメリカ人にとって、カウボーイや西部時代というのは特別な響きがあるようです。その辺のツボがわかれば、もっともっと楽しめる作品だと思います。
出演:クリント・イーストウッド,ソンドラ・ロック,ジョフリー・ルイス,スキャットマン・クローザース,シェラ・ペシャー
監督:クリント・イーストウッド 1980年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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