2009.05.03
Counterpoint 邦題:誇り高き戦場
第2次世界大戦中の米軍慰問団の楽団員とドイツ軍将軍との駆け引き、戦争と芸術との対比を描いた作品。チャールトン・ヘストンが、独裁的なマエストロを怪演しています。
1944年12月。ヨーロッパ戦線もドイツ降伏まで半年と迫り、戦局は圧倒的に連合軍優位となっていました。前線の米軍の慰問にベルギーを訪れたオーケストラと、世界的に有名な指揮者ライオネル・エバンズ(チャールトン・ヘストン)は、前線戦局の急展開でドイツ軍の捕虜となってしまいます。
捕虜は銃殺刑と言う命令が、軍本部からは出されていましたが、ルクセンブルグの古城にあるドイツ軍司令部に送られた彼らは、そこで若く独裁的な将軍シラー(マクシミリアン・シェル)によって、銃殺刑は免れることになります。シラーは音楽をこよなく愛する一面も持っており、またエバンスの奏でる演奏に心酔していました。
シラーはエバンスに演奏を命じますが、敵兵の為の演奏は断じて出来ないとエバンスは断り続けます。2人のアメリカ兵が団員に紛れ込んでいて、彼らを脱走させる計画を練り、実行に移すのですが・・・。
第二次大戦時に、最前線にこのような大人数の慰問団を送り込んでいたのかどうかよく知りませんし、そんな彼らを警護もなしに移動させるということも考えにくい。パルチザンが彼らを助けようとドイツ軍を急襲するというのも、ありそうでなさそうな設定ではありますが・・・。
まあ、そんなこんなはさておき、論理的米国人とアメリカ軍に対し、独裁的(狂人的)全体主義のドイツ軍、目の前の戦争や殺し合いと、共通言語として営々と受け継がれる芸術。そして非戦闘員エバンスと「シラー」というドイツ芸術の象徴のような名の将軍との対比。当時の「男の世界」的構図が見え隠れはしますが、作品としてはなかなか見所がありました。
ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスにワグナー・・・。クラシック好きの方には軽く音楽も楽しんでいただけます。チャールトン・ヘストンの指揮振りは、ちとオーバーアクションですが、コンサートマスターのビクター演じるレスリー・ニールセンがカラヤン似なのには、ちょっと笑ってしまいます。
原作はアラン・シリトーの「ザ・ジェネラル」、将軍と言う意味ですが、映画の原題「Counterpoint」はご存知音楽用語の「対位法」という意味。ドイツ軍の将軍と、マエストロとしての将軍、その対比と言うなかなかどちらも含蓄のあるタイトルですが、邦題は悲しくも「誇り高き戦場」。まあ、このほうが一般的にはわかりやすいか・・・。
出演:チャールトン・ヘストン,マクシミリアン・シェル,キャスリン・ヘイズ,レスリー・ニールセン,アントン・ディフリング
監督:ラルフ・ネルソン 1967年
BOSS的には・・・★★☆☆☆
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