BOSS's Column

自殺願望のあるはちゃめちゃな刑事と、家族思いの黒人刑事がタッグを組んで、麻薬組織と戦うポリス・アクション。オーストラリア映画「マッドマックス」で主役デビューしたメル・ギブソンが、その人気を確たるものにした、4作までシリーズ化された第一作。

クリスマスを迎えたロス・アンジェルス。高級アパートの最上階から、若い娼婦が飛び降ります。どうやら自殺ではなく、殺人事件らしい。この日、50歳の誕生日を迎えた殺人課刑事ロジャー・マートフ(ダニー・グローヴァー)が担当になりますが、その娼婦はベトナム時代の戦友の銀行家マイケル(トム・アトキンス)の娘でした。

一方、トレーラー暮らしで自らの命をなんとも思っていないような激しい捜査逮捕劇を繰り返す刑事マーティン・リッグス(メル・ギブソン)は、自殺願望があるという理由で古巣麻薬課を放り出され、ロジャーの相棒となります。

実はマーティンは、最愛の妻を交通事故で亡くし、生きてゆく意味や希望を失っていて、いつも自殺用の弾を持ち歩いていました。出会いから格闘劇を起こす二人も、マートフの家にリッグスを呼び家族と食事をする間に、次第にお互いを理解するようになります。

娼婦の死は、どうやら麻薬組織が関係しているらしいことを突き止めたマートフとリッグス。娘の葬儀の日、真実を語るようマイケルを説得するマートフは、突然飛来してきたヘリからの銃撃を受け、マイケルは命を落とします。それだけでなく、捜査中のリッグスも走り去る車から銃撃を受け、マートフは娘を誘拐されてしまいます。

後々の「２」から「４」は、どちらかと言えばコメディタッチのアクション映画ですが、1作目となる本作は翌年始まった「ダイハード」シリーズと同じように、1作目の暗さみたいなものが付きまとっています。それはリッグスの強烈な自殺願望と、それをどうやり返せばいいか戸惑うマートフという構図のせいもあります。

ただ、やはりバディ映画でもあり、またマートフの家族と彼のやり取りなどを見れば、人間ドラマ的な要素も盛り込まれています。時々流れるブルース・ギターは、通の方はすぐお分かりのクラプトンのスタラトキャスター、デビッド・サンボーンも聞こえてきます。

で、リッグス愛用の拳銃はベレッタM92、自殺用にと持ち歩いている「弾」は「フルメタル・ジャケット」ですが、英語では「hollow point（ホロー・ポイント）」と言ってました。どっちやねん！って、どうでもいいことですが・・・。

敵から奪ったマシンガンは、H&K MP5。ウージーも出てましたが、元空挺隊員という設定なら、やはりH&Kだけでよかったのでは？とかストーリーとは全く関係ないお話ですいません。

「ダイハード」とともに、90年代のポリス・アクションの原点となった本作。まだまだ伊達ないい男になっていない、マッドなマックスのまんまのメル・ギブソンをとくとご堪能あれ！

出演：メル・ギブソン,ダニー・グローヴァー,ゲイリー・ビジー,ミッチェル・ライアン,トム・アトキンス

監督：リチャード・ドナー　1987年

BOSS的には・・・★★★☆☆

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