2009.05.06

Movies

March or Die 邦題:外人部隊フォスター少佐の栄光

20世紀初頭の北アフリカはモロッコの砂漠を舞台に、フランス軍の外人部隊を率いる少佐と部下たち、砂漠の部族との戦いを描いた歴史アクション。アカデミー俳優のジーン・ハックマンが主演してますが、なぜか本邦劇場未公開作品です。

第一次大戦直後の北アフリカ。モロッコのエルフードで、古代遺跡の発掘作業が行われていましたが、発掘に反対する現地アラブ民族の襲撃にあい、作業は頓挫します。フランス政府はルーブル美術館の強い意向を受け、アメリカ人少佐フォスター(ジーン・ハックマン)率いる外人部隊の警護を得て作業を再開することになります。

MarchorDie.jpgもともとはアメリカ軍に入隊したけれど、上官に具申したがために軍を追われ、フランス軍に入隊したフォスター。直前の戦闘では栄誉を得ますが、8000人の部隊は傷ついた者を含め200名足らずで帰国したことに、彼自身は深い憤りを感じていました。

世界屈指の歴史的美術品を手に入れたい美術館と、その高価な価値から戦争への投資を回収できるかもしれないと考えた政府。彼らにとって兵士の犠牲、それも外人部隊の兵士の死など、得るものと引き換えの代償でしかありませんでした。

軍人として戦うことを使命とするフォスターも、その目的が異国の財宝の搾取でしかないことに空しさを覚えながらも、政府の命を受けてさまざまな訳ありの男たちを傭兵としてモロッコへと向かいます。一行の中に、美しい未亡人シモーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)がいました。

ルーブル美術館。アートに興味がある人なら一度は訪れてみたいメッカですよね。そこにはフランス芸術の数々がもちろん展示されていますが、海外から搾取されてきた歴史的遺品も沢山あります。それらはかつての帝国主義が手にした強大な力の故ですが、そのためにかの地で失われた命も沢山ありました。

外人部隊といえばフランス。起源を調べると19世紀に遡るようですが、その辺の問題定義に終始することなく、新米のあらくれどもが鍛えられるプロセスや、戦争と言う殺し合いのユニットである軍隊とはなんであるかを、しっかりと伝えてくれます。

「俺たちに明日はない」「フレンチ・コネクション」「スケアクロウ」、最近では「ニューオーリンズ・トライアル」で素晴らしい演技を披露してくれたアカデミー俳優ジーン・ハックマンが、この作品でもいい演技を披露しています。砂漠に戦場、ちょっと場違いなカトリーヌ・ドヌーブも、さすがに堂々たる演技で、本作の響きを豊かにしています。

音楽はテレンス・ヤング。「アラビアのロレンス」や「ドクトル・ジバゴ」、最近では「今を生きる」で皆さんもよくご存知でしょう。本作自体が、男のロマンとか男女のロマンスがテーマではないので、ちょっと控えめではありますが、映像の奥行きや緊張感をさりげなく表現しています。

兵士は何の為に戦うのか?私たちは、何の為に仕事をしているのでしょうか?

出演:ジーン・ハックマン,テレンス・ヒル,カトリーヌ・ドヌーヴ,マックス・フォン・シドー,イアン・ホルム

監督:ディック・リチャーズ 1977年

音楽:モーリス・ジャール

BOSS的には・・・★★★☆☆

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