2009.05.01
さくらん
江戸時代の遊郭街「吉原」を舞台に、8歳で売られてきた少女が花魁にまで出世し、やがて自らの足で吉原を去るまでを描いたドラマ。見ようによっては、ラブコメ!?
満開の桜の季節。遊郭に売られてきた8歳の少女は、桜の花が一輪も咲かない吉原の大門をくぐります。「女郎になどなりたくない」「きよ葉」と名づけられた彼女は逃亡をはかりますが取り押さえられ、店番の清次(安藤政信)に、「この吉原に桜が咲いたら、お前をここから出してやる」と言われます。
吉原一の高級花魁「粧ひ」(菅野美穂)のもとで修行を重ねたきよ葉。ある日彼女は金持ちの旦那に身請けされ、きよ葉に髪飾りを残して吉原を去ります。
17歳になったきよ葉(土屋アンナ)は、店の上客の「ご隠居」を始めて客として取り、その鼻っ柱の強さから一躍、吉原の人気者になります。それをよく思わない花魁の高尾(木村佳乃)と、火花を散らす日々。ある日この葉は、客の一人のうぶな青年惣次郎と心を通わせるようになり、初めての恋に落ちますが・・・。
原作が安野モヨコ、監督は蜷川実花、主演が土屋アンナに音楽が椎名林檎。この映画は、彼女たちの中にカリスマ性を感じる、主に若い女性たちのための作品だと言っても過言ではないでしょう。
土屋アンナのケバイ化粧と切るたんかに隠された一途な女ゴコロ。それを彩る極彩色の映像の数々。時代劇には似つかわしくはないけれど、あながちミスマッチともいえない椎名林檎のメロディ。そういうものに敏感に反応する方には、なかなかよく出来た映画ではないかと思います。プロット的には、純粋なココロと純粋な愛という、さんざん言い古された展開なのですが、逆に予測可能なそういうわかりやすい展開こそが、本作を映像美だけの作品ではないものにした要因かもしれません。
時代劇として見れば細かい時代考証が・・・なんていうつまらないことに気をとられてしまいます。当時、そういう性行為はなかっただろう・・・とか(爆)。それよりも女性という性(サガ)の弱さと逞しさ、柔らかさとしたたかさを描いたちょっとコメディなラブストーリーとして見た方が、気も楽ですしずっと楽しめるのではないかと思います。
物語のほとんどは遊郭内ですし、濡れ場とか裸もたびたび登場します。しかし、男性諸君、過剰な期待、よからぬ想像をしてはなりません。最近の20代の、自立を目指す女性にとっては、処女喪失でさえ男性が思うほどメランコリックではないのです。(多分・・・)こういう風合いは、女性監督ならではかもしれません。男なら何がしかの、ミョーな思い入れという失態を犯してしまうのでしょうね。
菅野美穂と土屋アンナが、演出上まったく同じ構図で大胆な濡れ場を演じるシーンがありますが、どうみても土屋アンナのほうが上手。いや、そんなことはどうでもいいことですが・・・。
時代劇だからとか、遊郭物だからとか、そういう頭で見るのではなく、それこそ女性のように感性でご覧になれば、女性でもオヤジでも、それなりに楽しめる作品ではないでしょうか?
結局、「人間って、いいよね!」あたりの漠然とした、あるいは感覚的な結論を導き出せないと、逆にそれなりの作品になってしまうかもしれませんが・・・。
出演:土屋アンナ,椎名桔平,成宮寛貴,木村佳乃,菅野美穂,安藤政信
監督:蜷川実花 2007年
原作:安野モヨコ
脚本:タナダユキ
音楽:椎名林檎
美術:岩城南海子
BOSS的には・・・★★★☆☆
おすすめ平均:
和製「SAYURI」は星3つ。だけどチャレンジは買うのでプラス1。
「赤」い映画
先入観と固定観念と予備知識
個人的な意見ですが。
吉原にしては…
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