2009.05.16

Movies

鉄コン筋クリート

周辺の街から取り残された、昭和のような義理人情に溢れる街の再開発化と戦う、二人の少年ストリート・ギャングを描いた国産アニメーション。ビッグコミックスピリッツに連載された松本大洋の劇画を、「アニマトリクス」製作のマイケル・アリアス監督が映画化。アメリカではR指定でした。

近代化する周辺の街から取り残されたような懐かしい町「宝町」。親のいない二人組のストリートギャング、クロ(二宮和也)とシロ(蒼井優)は「ネコ」と呼ばれ、盗みやカツアゲを生業にこの街で自由を謳歌していました。

クロとシロ、昔気質のヤクザ、そして地元警察が、衝突を繰り返しながらも安定を保っている街。そこに、再開発業者がやってきたことで、微妙な均衡が崩れ始めます。力で金を追い求める開発業者にとって、地上げや再開発の邪魔者でしかないシロとクロを抹殺すべく、3人の超人的な殺し屋が街に送り込まれます。

正直、原作を見てないので、その世界からの劇場感は全くわからないのですが、物語としては冒頭からのスピード感を保ちつつ、非現実的な展開の中にあって日常性から離れることなくエンディングに繋がっています。

このあたりが原作どおりなのかどうかは知る由もないのですが、最後まで面白く見ました。唯一、物語中に出てくる拳銃らしい拳銃が「S&W 6906」というのを聞いただけでニヤケテしまう。

この「クロ」と「シロ」は、その字の通り人間の「表」と「裏」の象徴です。つまり好むと好まざるにかかわらず、人が誰でも持っている心のうち。そして、終盤に登場する「イタチ」は、裏のココロをさらに無法なものへと駆り立てる、心の奥底で芽生える「悪」です。

「シロ」と「クロ」の間で揺れ動き、微妙なバランスで生きて暮らす私たち。そして「クロ」に振り切ったときに首をもたげる「邪悪なもの」。ただ、目的がどのような大義名分であろうと、どのような愛や希望に基づいていようと、「邪悪なもの」の手前で踏みとどまらなければならない。そこでの自分との戦いには勝たなければならない。

そんなことを思ったと書いてみると、これってやっぱり闘争本能に突き動かされる「男のサガ」かもしれません。ってことは、この映画って女性の方には評価不能?まあそれはそれで、男である踏み絵かもしれませんね。

攻殻とも駿ワールドとも異なるアニメとCGの合成の画像は、現実ではなくかといって夢ではない、いわば「夢想の世界」に連れて行ってくれます。途中の創造の世界表現が、ちょっと雑だったかも!?
原作のファンに。攻殻ファンに。あとは嵐と蒼井優のファンの方に。「意味がわからん!」というような感想は決して漏らさぬよう。だって、そもそもこの作品に人を導こうとする魂胆も野心もありませんから!

声の出演:二宮和也,蒼井優,伊勢谷友介,宮藤官九郎,田中泯

監督;マイケル・アリアス 2006年

BOSS的には・・・★★★☆☆

鉄コン筋クリート (通常版) [DVD]

おすすめ平均:4
4期待以上だが
5期待以上の作品でした
5理屈なんて吹き飛ばすくらい楽しい!
5クロとシロ
1もう一度

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