2009.06.28
MANUALE D'AMORE 邦題:イタリア的恋愛マニュアル
4組の未婚・既婚の男女を通して、愛とは結婚とは家庭とは?を描いたオムニバスタッチの恋愛ドラマ。イタリアらしい恋愛模様を、イタリアらしいタッチで描いた、イタリア語のイタリア映画。タイトルどおり彼らの恋愛模様を通して、私たちを笑わせながら勇気や決断や、あるいは時にはなにがしかの示唆を与えてくれます。
失業中の青年トンマーゾ(シルヴィオ・ムッチーノ)は、今日も面接に失敗。落ち込んで帰る道すがら、不吉の代名詞である黒猫が彼のバイクの前を横切り、完全にキレてしまいます。ところがそのネコの飼い主は、美しい少女ジュリア(ジャスミン・トリンカ)。トンマーゾは彼女に一目ぼれしてしまいます。
最初は若い男女の戯れっぽい展開で、おじさんには選択ミスだったかなと思わせたのですが、気を取り直して「まあ、暖かく見守ってやろうじゃないか・・・」と。その小話は次に中年の夫婦の話に展開し、思わず身を乗り出した自分がローマの街角に立っていることに気づいてしまいます。うまい展開です。
憧れ、焦がれ、思いを募らせて実らせたはずの結婚、そうして築いたはずの家庭。最初はまぶしいほどに輝いていたそれらの出来事も、いつの間にか知らず知らずのうちに、雨に打たれ風にさらされ、曇って輝きはうせ、そんなまぶしい時代があったことさえ思い出せないほどに、朽ち果てるままとなってしまう。
どんな男女や家庭にもありがちな話題や問題を、面白おかしく、でもリアリティを持ってドンドン展開するので、気がつくといつの間にかエンディングの海辺にいます。脚本もよく出来ていて、会話も面白い。ココロの言葉と実際の会話の折込も、ごく自然に進んでゆきます。
イタリア的な陽気さの影に見える人の持つ悲しみや寂しさ。すべての男女に、ってことはすべての人にお勧めです。ラストは、映画「ひまわり」で二人が寝そべってた海岸では?
出演:シルヴィオ・ムッチーノ,ジャスミン・トリンカ,フランチェスコ・マンデッリ,マルゲリータ・ブイ,セルジオ・ルビーニ
監督:ジョヴァンニ・ヴェロネージ 2005年
BOSS的には・・・★★★☆☆
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」