2009.06.03

Movies

The Searchers 邦題:捜索者

ジョン・ウェイン&ジョン・フォードがお届けする西部劇の一作。カウボーイ、南北戦争、チェロキー族・・・この一本で「西部劇」がわかる大百科事典!?背景に撮られたモニュメント・ヴァレーの映像はあまりにも有名。ナタリー・ウッド、まばゆいほどの美しさです。

南北戦争直後のテキサスの田舎町、南軍に従軍し終戦後3年も経ってから弟一家の経営する牧場に舞い戻ってきたイーサン・エドワーズ(ジョン・ウェイン)。そこには妻と3人の子供、そしてチェロキーの混血で、コマンチ族に一家を惨殺された若者、マーティン・ボウレイ(ジェフリー・ハンター)がいました。

The_Searchers.jpg翌日、隣人の牧場主の牛がインディアンに盗まれたため追跡隊を出すということで、牧師兼テキサス警備隊長のサム・クレイトン大尉(ワード・ボンド)らテキサス警備隊とともに、イーサンとマーティンも馬で牧場を後にします。しかしそれは、インディアンの仕掛けた罠。男どもが留守にした牧場にインディアンたちがやってきて、弟夫婦は虐殺され、二人の娘はさらわれます。

罠に気づき舞い戻った彼らは惨状を目の当たりにし、コマンチ捜索隊を結成して後を追いますが、劣勢のため退却。怒りの治まらないイーサンはマーティンとともに追跡を続けます。

ストイックなカウボーイ、イーサンを演じるジョン・ウェイン。「男らしい」のですが、冷静に見れば先住民に対する露骨な人種的偏見と嫌悪、独り者らしい独善的な価値観でひとりぐいぐいと突き進む。ただ彼は、博愛主義者は目をそむけるほどの邪悪な存在かもしれませんが、自ら立てた目標に対して突き進んでゆくそのキャラは、現代人がなくしてしまったストイックな求道精神に、あるいは孤独を小脇に抱えながらも力強く立つ、私たちが捜し求める本来の「ヒーロー」像かもしれません。

実際、強烈なこのイーサンのこのキャラは、後の「タクシー・ドライバー」などのアンチ・ヒーローの規範となります。また、モニュメント・バレーを背景にしたカメラワークもさまざまな影響力を残し、デヴィッド・リーンは「アラビアのロレンス」撮影前に繰り返しこの作品を見たそうです。

たしかにそういえば「ロレンス」のシーンにはこの作品の影響が見て取れます。スピルバーグやセルジオ・レオーネなども、常に立ち返る作品としてこの1本をあげています。

客観的に冷静に見れば、さまざまな問題を内包した作品ではありますが、「クロサワ」同様、映画作品として、あるいは西部劇としてのひとつのスタンダードであることに異論はないでしょう。

それにしてもナタリー・ウッドが美しい・・・

出演:ジョン・ウェイン,ジェフリー・ハンター,ヴェラ・マイルズ,ワード・ボンド,ナタリー・ウッド

監督:ジョン・フォード 1956年

BOSS的には・・・★★★☆☆

捜索者 [DVD]

おすすめ平均:4
4カメラがうつくしい
5孤独なヒーロー
5西部劇のクラシック
3西部劇だが現代劇のような味わい

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