2009.08.09
Orfeu Negro 邦題:黒いオルフェ
ギリシャ神話の吟遊詩人オルペウスと妻のエウリュディケーとの悲劇を、リオのカーニバルを背景に描いた作品。音楽担当は、ボサノバの父アントニオ・カルロス・ジョビン。アカデミー最優秀外国映画賞・カンヌ映画祭グランプリ・ゴールデン・グローブ賞受賞。
カーニバルを翌日に控え、浮かれた人々で賑わうリオ・デ・ジャネイロの下町。電車の運転手である青年オルフェ(ブレノ・メロ)が出会ったのは、田舎からやってきた若い娘ユリディス(マルペッサ・ドーン)。彼女は謎の男に付きまとわれ、逃れるようにリオに住む従妹のセラフィーナ(レア・ガルシア)を訪ねてきたのでした。
仕事を終えたオルフェは、婚約者ミラ(ルールディス・デ・オリヴェイラ)と落ち合い、明日のカーニバルの為に質屋に預けおいていたギターを請け出します。彼の歌声は村の子供たちの憧れでした。一方、丘の上の従妹の家に無事たどり着いたユリディスは、隣から聞こえる美しい歌声に聞き入ります。オルフェスでした。そして二人は愛し合います。
夜、カーニバルの練習に出かけた二人。しかし扮装した群衆の中に、死の仮面をつけた一人の男が・・・。
リオのカーニバルと言えば熱狂的な踊りと強烈なサンバのリズム。一方でジョビンらが火をつけた軽快で美しいボサノヴァ。この映画は、その熱狂や艶やかな色彩と、リオの景色や「フェリシダージ」「カーニバルの朝」といった美しさとの対比の中で、運命的に出合った男女の恋の行方を描いています。
ベースはギリシャ悲劇ですから、ハッピーエンドではありません。しかし、作品を見終わった後、遺恨や名残惜しさではなく、命が繰り返され積み重なる人の営みの美しさのようなものにそっと包まれます。
貧しくても生き生きと生きる人々、そしてすべてをかけて没頭するカーニバル。彼らを包む厳しくも美しい自然の眼差し。日は沈み、そしてまた日は昇る。遺されたオルフェのギターを手にした少年に、新しいオルフェ伝説の始まりが見えます。
映画の、ひとつのカタチ。もちろん、ボサノヴァのお好きな方にも!
出演:ブレノ・メロ,マルペッサ・ドーン,ルールディス・デ・オリヴェイラ,レア・ガルシア,アデマール・ダ・シルバ
監督:マルセル・カミュ 1959年
音楽:アントニオ・カルロス・ジョビン,ルイス・ボンファ
BOSS的には・・・★★★☆☆
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