2009.08.11

Movies

Patton 邦題:パットン大戦車軍団

第2次世界大戦のヨーロッパ戦線を舞台に、アメリカが生んだ名将パットンの半生を描いた戦争ドラマ。いや邦題よりも原題どおり、一人の軍人のヒューマンドラマ。若きコッポラが脚本、「12人の怒れる男」「猿の惑星」「パピヨン」のフランクリン・J・シャフナーが監督・製作。アカデミー賞作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞・編集賞・美術賞・録音賞受賞。

1943年、北アフリカ戦線。「砂漠のキツネ」の異名をとった第3帝国の名将ロンメル元帥(カール・ミカエル・フォーグラー)と彼の率いるドイツアフリカ軍団も、連合軍の圧倒的な物量の投入と補給路を断たれて、いまやかつての勢いはありません。しかし、各地で反抗善戦するドイツ軍に、連合軍側も多大な被害を出していました。

patton_01.jpg前年に少将としてアメリカ第1機甲軍団を指揮しモロッコに上陸したジョージ・パットン((ジョージ・C・スコット)は、士気の下がった部隊を立て直すため、陸軍士官学校の後輩だったブラッドリー少将 (カール・マルデン)を副官とし、兵士たちに厳しい再訓練を開始します。

宿敵であり、倒すべきライバルであるロンメルとの戦いはほどなくやってきます。エルゲッターの戦車戦でドイツ軍に対し圧倒的な勝利を収めたパットンは、モントゴメリー大将(マイケル・ベイツ)率いるイギリス軍とともに、ヨーロッパへの反抗としてシチリア島攻略作戦に参加するのですが・・・。

展開的には、ご存知の方はご存知の通り、連合軍は1年後のノルマンディ上陸作戦に向けて、徐々にドイツ包囲網を狭めてゆくわけですが、物語の妙は3人の主要な登場人物のキャラクターとその指揮のさま。厳格で勇猛果敢なパットン、慎重派のブラッドリー、そして狡猾なモントゴメリー。パットンの人物像は、イントロの圧倒的なモノローグで、自身の言葉により一気に語られます。

生まれながらにしての「軍人」であり、戦場が生きる世界のすべてであり、立ち込める硝煙が酸素であるパットン。それは彼だけでなく、同時代のロンメルや19世紀のナポレオン、古くはアレクサンダーなどでしょうか。もちろん、彼らほど有名ではなくとも、職業人として戦いに身を捧げた軍人は、永き戦いの繰り返しに明け暮れた人類の歴史には星の数ほどいます。

そもそも「戦争」そのものを否定すべきものとすれば、彼らの存在は肯定されるべきものではないけれど、戦争が避けることができないものだということを歴史から学ぶのならば、彼らはむしろその災いを早期に終結させ、被害を最低限に食い止めるために必要だったかもしれません。

「戦闘の早期決着と講和による問題解決」

それは孫子が記した兵法の根幹であり、戦略を実現する軍人・将の役目でもあったからです。それだからこそ、戦略なき戦争の長期化でしかない「一億層玉砕」や「特攻」は、責められるべき「戦いにあらず」なのです。

いずれにしても、強烈な個性を放つパットンという一人の男。今頃のソフトな(ふやけた)時代には、化石のような硬さや古さしか若い方の記憶には残さないかもしれません。が、軍隊と言う組織が、戦勝という目的を達成するために必要なことは何かを、身を持って知り尽くすことは、いつの時代にも必要な、生き残るすべだと思うのですが。人間である前に、種を保存すべき動物として。

ある意味の男臭さ。憧れます。

出演:ジョージ・C・スコット,カール・マルデン,マイケル・ベイツ,カール・マイケル・フォーグラー,スティーブン・ヤング

監督:フランクリン・J・シャフナー 1970年

脚色:フランシス・フォード・コッポラ,エドモンド・H・ノース

BOSS的には・・・★★★★

パットン大戦車軍団 <特別編> [DVD]

おすすめ平均:4
4パットンの伝記映画
3ある意味、気の毒だと言える生涯・・・
5「根っからの軍人」、「偉大なる時代遅れ」という言葉が好きなら
5戦争映画としてではなく伝記映画として秀作
4パットンの半生を描いた秀作。

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