2009.08.14
あかね空
江戸の豆腐職人の家族を通して、職人魂や家族愛、人情や人の絆の大切さを描いた人情時代劇。原作は直木賞受賞の山本一力。勘助役で名を馳せた内野聖陽が、一人二役に挑戦しています。
江戸の下町深川、職人たちが多く暮らす裏通りの長屋筋。井戸から汲み上げた澄んだ水をじっと見つめる旅の男がいました。永吉(内野聖陽)は京の豆腐屋で修行をし、江戸で自分の力を試すためにやってきました。
長屋の一角で豆腐作りを始めた栄吉は、近所に住む桶屋の娘おふみ(中谷美紀)と知り合い、二人は京仕立ての豆腐を江戸で売り出そうと力をあわせて奔走します。老舗の豆腐屋である清兵衛(石橋蓮司)とおしの(岩下志麻)は、幼くして生き別れになった息子正吉を栄吉に重ね合わせ、影で二人を応援します。そして18年の時が流れ・・・
なんといっても内野聖陽、勘助がはまり役と思いきや、一途な豆腐職人栄吉も素晴らしい。そして二役目の傳蔵親分も、ある意味一途な本物のやくざ。と言えば、やっぱり一途な役と言う共通項でしょうか?相方の中谷美紀も、表情で細やかな心情を表現していて、これまた名演です。
映像は全体に黄色っぽくて、なんだか黄砂に包まれているようですが、全体のトーンを和らげる効果があります。そして再現された深川の町並みのリアリティや隅田川にかかるVFXの永代橋の迫力も、物語のしっかりとしたファンデーションとして機能しています。
原作者山本一力の描く細やかな人情の交換。それを見事に演じる登場人物。べたつかず、さりとてよそよそしくもない距離感と親近感。現代にもありがちな展開を、江戸情緒とあるべき人情が静かに清めてゆきます。エンディングの爽やかな「あかね色の空」が、この作品のすべてを要約しています。
愛と人情のこもった京屋の豆腐、食べてみたいです。
出演:内野聖陽,中谷美紀,中村梅雀,石橋蓮司,岩下志麻,
監督:浜本正機 2006年
BOSS的には・・・★★★☆☆
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」