2009.08.08
QUANTUM OF SOLACE 邦題:007/慰めの報酬
かの有名な007シリーズの最新作。という、前作と同じ書き出しではまずいということで、シリーズ22作目、ダニエル・クレイグ主演による2作目にして前作「カジノ・ロワイヤル」の続編。で、続編扱いはシリーズ初です。
前作「カジノ・ロワイヤル」で、愛するエヴァを失った失意のボンド(ダニエル・クレイグ)は、裏で彼女を操っていたミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)を捉え追求しますが、MI6内部にも組織の手が伸びていました。
射殺してしまった裏切り者の残した手がかりと、偶然出合った謎の女性カミーユ(オルガ・キュリレンコ)を通して、組織の黒幕に接触することになります。ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)、表の顔はエコロジーを標榜するNPO法人「グリーン・プラネット」の代表。しかし彼は、ヨーロッパと南米を行き来し、元軍事政権トップやCIAとの裏取引で、天然資源などの採掘権やさまざまな利権を手にしようとする悪しき政商でした。
エヴァの復讐と、エージェントとしての任務の狭間で揺れ動きながら、ボンドは組織の中枢に接近してゆきます。
前作で主役交替となったボンド。私的には別人なのですが、物語もこれまでの20本ほどのシリーズとは断絶された印象です。前作はメインの場面がカジノでの息詰まる心理戦だったのですが、本作は180度反対方向といいますか、超アクションに振り切った(振りすぎた?)印象。
のっけのアストンマーチンとアルファロメオとの、WRCで有名なあのモンテカルロの狭い街道を使ったアーアクション。目が回ります。犯人を追って、屋根から屋根を飛び回り、足場の上に転落し、転げまわって打ちまくり、顔も体も傷だらけ。目が回ります。
もうMも呆れるほどの、「暴れん坊将軍」といいますか「ただの殺人鬼」といいますか・・・。見ていてMとかMI6とかの単語が出なければ、「ジェイソン・ボーン」の最新作かと思いますがな。しかもマイケル・マンのカメラワークを倍速早送りしたような映像は、見ていて酔いそうになるし・・・。
ストイックと言えばストイックなアクションの激しさの中に、ボンドとカミーユのそれぞれが負ったココロの痛みを埋め込もうとする意図はわかるのですが、「007」とついてなければただの暴走復讐アクション?
消えたり飛んだり潜ったりしていたボンドカーは、ただの車(高価ですが・・・)ゆえ、ぶつかってぶつかってボロボロ。いつの間にか古き良きPPKに戻った愛用の銃も、連射が必要なシーンではP99に持ち替えて。敵の銃を拾ったという設定になっているので、まあこれはよしとして。でも、なぜ今さらPPKに持ち替えたのかの説明もなく・・・。もちろんジョークもなく・・・。
本作では、激しいアクションの合間にかつてのボンドの「待ってました!」風のジョークも織り交ぜてはいるのですが、いかんせん張り詰めたままのダニエルでは、決して笑えない、全然笑えない。個人的には、オルガ・キュリレンコの背中の日焼け跡(?)が気になって気になって・・・(苦笑)。
「ゴールドフィンガー」を彷彿とさせるオイルまみれの美女の死体も、酔狂としか思えない。忘れた頃にやってくるエンディングでのガンバレル・シークエンスも、自ら従来ボンドシリーズの裏ボンドと宣言しているように見えて・・・。
現代の諜報活動は、情報操作とコンピューター・ネットワーク、つまり情報戦となり、かつての「スパイ」という人間臭さはほとんどなくなってしまってます。だからかつての、「わくわくするような」ボンドが楽しかったわけで、私的にはやはりピアース・ブロスナンが懐かしい。新世代の、あるいは「アナザー・サイド・オブ・MI6」物語として。
はてさて、ボンドはどこに向かってゆくの?
出演:ダニエル・クレイグ,オルガ・キュリレンコ,マチュー・アマルリック,ジュディ・デンチ,ジェフリー・ライト,ジェマ・アータートン,イェスパー・クリステンセン,デヴィッド・ハーバー
監督:マーク・フォースター 2008年
BOSS的には・・・★★☆☆☆
おすすめ平均:
新感覚、007ジェームズボンドはイイね。
肉体派ボンド、確立。最高のポーカーフェイス。最強のMI6。
どこまでもハードなボンドがいい!
ある意味シリーズ中無二の作品
1作目からすると90点?
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