2009.10.07
Black Beauty by Miles Davis (1970)
またまた10ヶ月ぶりのJAZZ投稿。その前が2007年6月ですので、12ヶ月に1枚と言う超スローペースと相成っております。
私自身も過去ログを読み直さないと、どこまで言ったのやら、どんな調子だったのやら思い出せない始末。はい、マイルスさまが1970年3月に初めてロックの殿堂フィルモア・ウェストに登場し、その時の熱い模様が記録された「LIVE AT THE FILLMORE EAST」まででしたね。(誰か、うなずいて〜!^_^;)
で、今夜は台風も近づいていると言うことで(?)、翌月の4月に同じフィルモアでもNYにある「イースト」、そうあのオールマンの伝説のライブが行われる1年前のイースト初見山のマイルスを記録した2枚組みアルバム「Black Beauty」です。JAZZカテゴリとしては193枚目となります。
この時のライブは、4月9日から12日の4日間行われたようで、2日目がコロンビアから公式版としてしかも「日本だけ」「ノーカット版」で出されたものです。
実は1ヶ月前とメンバーが入れ替わっていました。6年近く連れ添ったサックスのウェイン・ショーターがウェストでお払い箱となり、このステージにはスティーブ・グロスマンが参加しています。
マイルスのオリジナルバンドでは、彼のラッパと双璧をなすサックスのメンバーの入替も結構多くて、51年の「Dig」がら見てみると、
51年〜:ジャッキー・マクリーン&ソニー・ロリンズ 「Dig」他
54年〜:ソニー・ロリンズ 「Bags Groove」他
55年〜:ジョン・コルトレーン 「Round About」「マラソン・セッション」他
58年〜:ジョン・コルトレーン&キャノンボール・アダレイ 「Milestones」「Something Else」他
61年〜:ハンク・モブレイ 「Someday My Prince Will Come」「At The Blackhawk」他
63年〜:ジョージ・コールマン 「Seven Step To Heaven」「My Funny Valentine」他
64年〜:サム・リバース 「初来日」
64年〜:ウェイン・ショーター 「Miles In Berlin」「At The Plugged Nickel」他
となって、結構長かったショーターがいよいよ切られ、グロスマンの加入となります。これは69年のビッチェス以降、急速に電気化したマイルスに対して全くなすすべのなかったショーターには見切りが切られ、フレーズが新しいだけがとりえのグロスマンが招聘されたと言うわけです。
それにしても、JAZZに詳しい方なら、マイルスが切ってきたメンバーがただのミュージシャンじゃないことはお分かりのはず。恐るべし帝王マイルス。
で、そのイーストでのライブ、いつものようにザビヌルの「Directions」から始まるのですが、なんかおかしい。マイルス右で吹いてると思ったら、次の瞬間には空間移動して左で吹いてる。いや、これミキシングがぐちゃぐちゃでんがな・・・。音のバランスは悪いし、なによりソプラノのワンパターンフレーズを吹きまくるグロスマン、うるさすぎ。
いつもの如く2セット目になると新しい世界を垣間見えるマイルスのステージ。2枚目ではなんとなく音響も落ち着いて、全員のベクトルも揃ってきて、しかも演奏はとんでもなく吹っ飛んでる。
それにしてもワンパターンのグロスマンはさておき、マイルスとチックのバトルがすごい。それに絡むデジョネットの太鼓。1ヶ月前のウェストから比べて、はるかに進歩と言うかススンデル。
SONY版の曲目は、
DISK 1:ブラック・ビューティ(パート1、2)
DISK 2:ブラック・ビューティ(パート3、4)
って、あんた手抜きでしょうがね!ちゃんとマイルスさまに聞いておいでよ!
まあ、公式版とは思えない手抜きだらけ、不始末の本作ではありますが、それでもこの時期、いやいつでも進化し続ける生のマイルスが堪能できる一枚。ナカヤマさんによると、本作の100倍いい演奏がいい音で聞けるブートがあるそうな・・・。ん・・・いよいよブートにまで手をのばすのか・・・。
しかし帝王マイルス、まだまだ続きます。まだ5合目まできてません。
おすすめ平均:
名盤「ジャック・ジョンソン」3日後のパフォーマンス
チック・コリアの歪んだローズが光る
チック・コリアの歪んだローズが光る
チック・コリア炸裂!
チックとグロスマンズのフォローに涙、涙(笑)
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