2009.10.27
Gray Lady Down 邦題:原子力潜水艦浮上せず
衝突事故により水深400mの海底に沈んだ、アメリカ海軍の原子力潜水艦の乗組員の救出劇を描いたドラマ。「戦争モノ」あるいは「潜水艦モノ」ではありません。原作はデビッド・ラバリー著「原潜919浮上せず」。チャールトン・ヘストンを初め、結構なキャラクターが登場します。
アメリカ東海岸北部のコネチカット州はニューロンドンにある原潜基地に帰港中の、アメリカ海軍原子力潜水艦ネプチューン。浮上航行していたネプチューンでしたが、レーダーの故障した貨物船と接触し沈没してしまいます。
幸い、深度400mの大陸棚の端にひっかかった原潜。しかしそこは地盤が不安定で、何らかの衝撃が加われば、そのまま底知れぬ深い海溝に飲み込まれようとしていました。
原潜内では、ブランチャード艦長(チャールト・ヘストン)以下41名の乗組員が一命を取りとめ、海上からの救助を待っていました。食事は1食ほど、酸素も1日半しか残されていませんでした。
一方、ノーフォークにある海軍本部では、ブランチャード艦長の旧友ベネット大佐(ステイシー・キーチ)を隊長とする救助隊が編成され、深海救援艇が出動します。しかし、原潜との無線は途絶え、状況はまったくつかめない。そこでベネット大佐は、小型潜水艇を監視に送り込むことにし、その開発に当たったゲイツ大佐(デイヴィッド・キャラダイン)とともに、救援本部となった現地付近を航行中の上陸用舟艇ナッソーに向かいます。
そしていよいよ、救出作戦が始まりますが・・・。
潜水艦モノは大好きです。それはそもそも海から生まれた生命であるというDNAの囁きなのか、もって生まれた閉鎖願望なのか。相手を探知、あるいは潜望鏡で目視しながら狙い打つ海戦。敵の駆逐艦に追い詰められて、息詰まる艦内。機雷に激しく揺れる船・・・。それは船と言う2次元の動きだけでなく、浮いたり沈んだりという3次元の要素も影響してるのかもしれません。
ただ、この作品は先にもお話したように、潜水艦と言う兵器による戦争モノではありませんし、潜水艦独特の密室感もやや薄め。なんなら原潜でなくても海底で密閉さえされてればいいほどの扱いです。ICBMも原子炉の恐怖も皆無なのです。
「ベンハー」や「十戎」、「猿の惑星」で有名な故チャールトン・ヘストンに始まって、「バード・オン・ワイヤー 」「キルビル」のデイヴィッド・キャラダイン、ネッド・ビーティにステイシー・キーチ、「スーパーマン」のクリストファー・リーヴといった地味ですが、キャラ満載のキャスト陣により、なんとかドラマ性は保たれてはいますが、とにかく緊迫度や意外性は放射能漏れ程度の低レベルです。
原潜ネプチューンは、時代的には初代原潜ノーチラスかジョージ・ワシントンと思われるのですが、はっきりしないその船型は、どうみても大戦中の船型に見えますし、セットの模型も小さくて、水疱の方が目立ってしまう。音楽も、臨場感には程遠く。
かといって、ヒューマンドラマほどには心理描写もされておらず・・・。ということで、本作は暴力もSEXもないということで、お子様と安心して見れる「文部省推奨作品」とさせていただきます。
出演:チャールトン・ヘストン,デヴィッド・キャラダイン,ネッド・ビーティ,ローズマリー・フォーサイス,ステイシー・キーチ,スティーヴン・マクハティ,ロニー・コックス,クリストファー・リーヴ
監督:デイヴィッド・グリーン 1978年
BOSS的には・・・★★☆☆☆
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