2009.10.17
敦煌
11世紀の中国、戦乱の中で敦煌の歴史遺産を守ることに命を賭けた一人の青年を描いた歴史ドラマ。井上靖原作の同名小説を「植村直己物語」の佐藤純彌が監督。中国のお話ですが、日本人キャストによる日本語作品です。
11世紀の宋の時代。趙行徳(佐藤浩市)は、西方の国「西夏」に関する問いに答えられず科挙の試験に落ちます。町で西夏の女を助けた礼に西夏への通行証を手に入れた趙は、西に向かってシルクロードを旅立ちます。
しかし彼は、途中西夏軍の漢人部隊の兵士狩りにあい、無理やり兵士にさせられてしまいます。隊長の朱王礼(西田敏行)は、字の読める彼を重用します。趙は、ウイグル攻略の際に美しい王女ツルビア(中川安奈)を助け、彼女と恋に落ちて逃走を試みますが失敗。朱の計らいで西夏の都に出来たばかりの西夏語の研究に向かうことになります。
2年後、大役を果たして朱と再会した趙。しかし別れ別れになったツルビアは、無理やり西夏の王・李(渡瀬恒彦)の妃にさせられようとしていました。朱も趙もどうすることもできない。そして彼女は婚礼の日に李の暗殺を企て失敗、自ら命を絶ちます。
ツルビアに思いを寄せていた主は、敦煌府太守・曹(田村高廣)を味方につけ、西夏王に対して謀反を起こします。
先日、大河ドラマでは天下分け目の合戦「関が原の戦い」が行われましたが、「天下分け目」ではありますがまあ誰が秀吉の後を継ぐかという、全国規模のお家騒動のようなもの。それにくらべてお隣中国の歴史は、まさに戦乱の歴史と言っていいでしょう。だからそういう歴史へのファンも多い。
ただ、歴史ものには弱い私(弱いと言うのはすぐに反応するというのではなく逆に反応しないと言う意味で弱い)にとっては、どうもとっつきにくい。しかも基本的に吹き替えを全く見ない、理解できない私にとっての中国モノの日本語映画。それはキャストが日本人だからとか、そういう問題ではなく、あくまでも個人的な臨場感の問題なのです。
原作がいいのか、背景となった出来事が素晴らしいのか、作品としてはなかなかのものでした。制作費もかなりかかっただろうなぁと思わせます。シルクロードの街や砂漠の大平原。この映画が製作された当時、たしかシルクロードがブームだったような気がします。
しかしカメラワークは稚拙で、対象をいかしきっているとはとても思えない。人物描画のアングルとかパーンも、狙ったとは思えない不自然さ。そういう無駄が積み重なって、2時間を越える大作となってしまったのか?
途中、クロサワ作品を彷彿とさせるようなシーンもありましたが、巨匠への挑戦に終わってしまっています。まあ、これだけの巨額を投じて外国ロケで外国の出来事を映像化することはもうないかもしれませんが、身内で褒めあうだけでなく、さまざまな切り口で検証すべき、それだけちゃんとした邦画作品だと思います。日本アカデミー賞最優秀作品賞・監督賞受賞作品。
出演:佐藤浩市,西田敏行,渡瀬恒彦,柄本明,田村高廣,中川安奈,三田佳子
監督:佐藤純彌 1988年
BOSS的には・・・★★☆☆☆
おすすめ平均:
いつの時代も泣くのは女性だ。
歴史の陰であったかもしれない男たちのドラマ
想い出とともに謎は残る
民族紛争を考える
原作の良さを何も理解していない
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