2009.11.29
TSOTSI 邦題:ツォツィ
南アフリカのスラム街を舞台に、貧困が生み出す問題を一人の少年を通して描いた社会派ドラマ。というよりも、ヒューマンドラマとして観るほうが肩の力が抜けていいかも。イギリス・南アフリカ合作映画。
貧しいスラム街に生きるツォツィと呼ばれる少年(プレスリー・チュエニヤハエ)は、自らの本名と過去を封印し、犯罪の中で暮らしていました。いつものように稼ぎに仲間たちと都市部の駅に出かけた彼らは、電車の中で中年男性を殺害し所持金を奪います。
殺人のショックを受けた仲間から良心の呵責を責められたトォツィは、気を失うほど殴り倒して酒場を飛び出し、そのままスラム街を出て裕福な人たちの住む街に向かいます。そこで夫人を銃撃し、車を奪って逃げますが、運転のできない彼は途中で事故を起こします。
車を捨ててスラムの自宅に戻ろうとする彼は、後部座席に残された赤ん坊を見つけ、連れ帰ります。
アカデミー賞外国語映画賞受賞作品ですので、根底にはアフリカを初めとする国々の貧困や長く続いた人種差別、貧富の差が生むさまざまな問題定義があると思います。しかしそういう視点で見ると、ちょっと作りすぎのフィクション臭が鼻につく。
むしろ親の愛を受けないままに大人になってゆく少年の、自分の中にもそもそも存在しながら、認識したことも把握したこともない誰か自分以外の人間への「愛」に突然触れてしまい、戸惑いを隠せない狼狽の姿を描いた作品としてみれば、なかなかテンポよく見ることができます。
そしてもうひとつ、今目の前にある問題を解決することの大切さとともに、明日から続く未来にとって、子供が子供として育つ環境の大切さを感じました。
自分自身を尊敬して生きてゆけることの大切さ。裕福なはずの私たち日本人も、とうに忘れてしまった「品格」と言う言葉が耳に残る作品でした。
出演:プレスリー・チュエニヤハエ,テリー・ペート,ケネス・ンコースィ,モツスィ・マッハーノ
監督:ギャヴィン・フッド
BOSS的には・・・★★★☆☆
おすすめ平均:
原作と違い。かくされてしまった真実。
国や人種を超えた人間としての本能
愛の大切さを感じれる作品
貧困が罪を産み、赤子が癒す
舞台装置は機能しているだけに
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