2009.12.01

Movies

Hamburger Hill 邦題:ハンバーガー・ヒル

hunbergerhill.jpg実話をもとに製作されたベトナム戦争もの。とある高地をめぐるアメリカ軍と北ベトナム軍の凄惨な争奪戦を、若い兵士の目線で描いています。

1969年ベトナム中部。フランツ軍曹(ディラン・マクダーモット)が指揮する第101空挺師団第3分隊に、また新しく新兵が補充されてきます。死んでゆく者の数だけ補充されてくる若者。戦いの何たるかも、ベトナムと言うあまりにも異常な戦闘の事も何ひとつ知らない20歳そこそこの彼らに、フランツはベトコンの恐ろしさを教えようとします。

舞台の設営地アン・マロー橋近郊では、それなりに青春を謳歌する彼ら。しかしそこも戦場に変わりはなく、北ベトナムの砲撃により次々と仲間を失ってゆきます。そんな彼らに、937高地の掃討命令が下ります。

ベトナム戦争をテーマにした映画は数多く、いずれも根底には反戦がテーマとなっているものが多い。本作も同様なのですが、切り口が若干違っています。

この映画では、悲惨なベトナムでの戦況とそこで戦う若者たちがあたり前に抱く目の前の戦いの意味を問いつつ、母国で起こりつつある反戦運動に対して、彼らを送り出した親家族さえもが肩身の狭い思いをし、たとえ戦争が終わって生きながらえたとしても、彼らの暖かい居場所が失われていると言う現実を、飛び交う銃弾とともに彼らに突きつけます。

誰のための何のための戦いかもわからず、自身に襲ってくる死を遠ざける為に「敵」と名付けられた相手を殺戮してゆく。それしか生き残る道はない。しかし、生き残ったところで帰る場所も見失われつつある。それでも、夜が明ければ戦いは続いています。

いまさら戦争の愚かさを云々するつもりはありません。それよりも、平和な今の世においても、私たちは無用に「敵」を作り、無益な「戦い」を続け、無駄に「命」を散らしてはいないか?生き物としてもって生まれDNAに刷り込まれた「闘争本能」のせいにするのではなく、21世紀の文明人に一人として、自分の生き様を振り返ってみる。20年前の本作を見ながら、そんなことを思いました。

出演:アンソニー・バリル,マイケル・パトリック・ボードマン,ドン・チードル,マイケル・ドーラン

監督:ジョン・アーヴィン 1987年

BOSS的には・・・★★★☆☆

ハンバーガー・ヒル [DVD]

おすすめ平均:3.5
5最高
5「地獄の黙示録」も「プラトーン」も・・・
5「戦争を描く」とはどういうことか
4ベトナム戦争ものの秀作
3ハンバーガー・ヒル

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