2009.12.14

Short story

TAMIKO

17の夏

僕はTAMIKOと

恋に落ちた

ある夜二人は

長電話

いつのまにか

夜も明けてしまって

何を話すでもなく

ただ繋がっていたくて

そのまま朝になり

受話器を置いた僕たちは

お互いを目指して

朝もやのなかを

それぞれ歩き始めた

6時きっかりに

堤防脇の道で

二人出会うまで

朝日の中で

ふたつの笑顔が出会うまで

その日はちょうど

文化祭の日だった

その日のデートは

レコード・コンサート

会場はだだっ広い講堂

人影もまばらだった

突然

ジェット機のような

ギターのイントロが始まった

「ツェッペリン?」

囁くように

彼女が訊ねる

その仕草が愛しい

「クイーンってバンド・・・」

ブライアン・メイの疾風と

ロジャー・テイラーの叩きつける雨の中

僕たちはキスをした

*これはFictionではありません。

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