2010.01.22
ブラームス ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品83(1881)
生涯で4曲の交響曲しか残さなかったブラームス。ヴァイオリン協奏曲は1曲のみ。そして今日ご紹介するピアノ協奏曲も2曲のみ。第1協奏曲は以前ご紹介したとおりで、その第一から約四半世紀後に作曲されたのが今日ご紹介する第2協奏曲です。
初演が大失敗だった第1協奏曲の後、彼は有名な第1、第2交響曲を世に出します。シューマンの自殺未遂と死去もありました。そして1978年に初めて春のイタリアを訪れ、有名なヴァイオリン協奏曲とソナタを残します。3年後の春に再びイタリアを訪れた後書き上げたのが、この第2協奏曲でした。
曲自体はイタリア旅行云々の影響と言うよりは、円熟期を迎えたブラームスらしい重厚な管弦楽にのった浪々たるピアノ曲であり、初演が自身のピアノであったと伝えられるとおり、彼が演奏するのが目に浮かぶような堂々とし、またかなりのピアノ演奏技術を要する曲となっています。
この曲は、協奏曲としては珍しく4楽章で構成されています。通常の3楽章構成の2番目にスケルツォが挿入されており、そういう先入観無しに聴いても確かに第2楽章には若干の違和感を感じます。
それは第1楽章の堂々たるエンディングのせいなのか、あるいはまるでピアノ技巧を披露するための旋律のような第2楽章そのもののせいなのか確信はないのですが、この楽章がなくても協奏曲として成立するように思います。
またこの曲は「ピアノ伴奏を伴う交響曲」と言われるように、管弦楽の出来がよすぎるため、あえて彼がこのスケルツォを挿入したのかもしれません。ちなみにかのリストがこの曲の楽譜が欲しいとブラームスに申し出たのも、この楽章を弾いてみたかったのかもしれません。
ただ、この第2楽章スケルツォがあるからこそ、この曲がまごうことなきブラームスの手によるものであることを証明してもいます。一般的な感覚からすればややバランスの悪い、すわりの悪い気はしますが、第2交響曲を彷彿させる第1音から、華やかな第4楽章の終わりまで、どこを切ってもやはりブラームスなのです。
弦楽器では出せない立ち上がりのアタック、大きさとか強さではなく音が立ち上がる様を描ききったこの曲。ベートーヴェンやリストなどと同じように、男性のピアニストをお勧めします。所有のCDはバックハウスのピアノ、ベーム指揮ウィーン・フィルで1967年録音のものです。ブラームスの魂が乗り移ったかのようなバックハウスの演奏が堪能できます。
おすすめ平均:
ピアニスト・バックハウスの真骨頂
大していい曲でも演奏でもないのだが・・・
ピアノ、指揮、オケとも素晴らしい1枚です
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