2010.01.18

Movies

A Good Woman 邦題:理想の女

アイルランド出身の文豪で詩人のオスカー・ワイルドの戯曲「ウィンダミア卿夫人の扇」を、映画化した作品。ワイルドらしい展開が見物です。

1930年の南イタリア。ひと夏のバカンスを過ごすために、世界中から上流階級の人々の集まる高級リゾート地。次々と恋愛遍歴を続けるミセス・アーリン(ヘレン・ハント)は、スキャンダルにまみれたニューヨークを逃れてやってきます。

同じく初々しいカップルもやってきます。夫ロバート (マーク・アンバース)と20歳の新妻メグ(スカーレット・ヨハンソン)。早速、地元社交界の中心人物であるルッチーノ伯爵夫人(ミレーナ・ヴコティッチ)の案内で街に出かけたメグ。彼女を見初めたプレイボーイの英国貴族ダーリントン卿(スティーヴン・キャンベル・モア)に言い寄られますが、一筋に夫を愛する彼女の心には響きません。

ある日、メグの21歳の誕生日のプレゼントを求めて一軒の骨董店を訪れたロバートは、偶然ミセス・アーリンと出会います。彼女の勧めで豪華な扇を送ることに決めたロバートでしたが、その時以降親しく付き合うようになった二人は、瞬く間に人々の噂のネタになります。

密かにロバートとメグの仲を引き裂こうと画策するダーリントン卿は、ロバートがアーリンに資金提供している事実を知り、メグがそれに気づくように仕向けます。

一方、噂とは異なる妻としての資質をアーリンに見出したイギリス人の大富豪タピィ(トム・ウィルキンソン)は、彼女にプロポーズします。しかし彼女は、自分にとって結婚は陽の射さない小部屋だと言って、彼の申し込みを断ります。

メグの誕生パーティの日。ロバートとアーリンの仲を疑うこととなったメグは、アーリンと同じような肌をあらわにしたドレスでパーティに出席します。

ヘレン・ハントは、ご存知「恋愛小説家」で主演女優賞を受賞したアカデミー女優。一方のスカーレット・ヨハンソンは、新進気鋭の美女。二人の女性の生い立ちや立場の対比を、二人が見事に演じています。といいますか、ヨハンソんはそれなりの演技ですむキャラですが・・・。

最初は金持ちの男たちの間を行き来する悪女のアーリンと、(子供はいませんが)良妻賢母のメグをどんどん刷り込まれてしまい、そして物語は展開し・・・。という、さすがのワイルド節に最後はウルウルしてしまいます。

基本的には耽美的・退廃的なイメージのワイルドですが、本作を見る限り人間を知り尽くしその上でとことん人間を愛したワイルドを理解することになります。

「よき女性」とは確かに「理想の女」。つまり「理想の女」のその「理想」を決して間違い思わぬよう、ゆめゆめお気をつけ下さい。

出演:ヘレン・ハント,スカーレット・ヨハンソン,トム・ウィルキンソン,スティーブン・キャンベル・モア,マーク・アンバース

監督:マイク・バーカー 2004年

原作:オスカー・ワイルド

BOSS的には・・・★★★☆☆

理想の女(ひと) [DVD]

おすすめ平均:4.5
5上品かつ良質な作品
3後半に見どころ
5オチがたまらない、ワイルドの人情噺
4なかなか良いです
3静かでいい映画だと思います。

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